2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12750648
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宇田 哲也 東北大学, 素材工学研究所, 助手 (80312651)
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Keywords | リチウム金属 / 液体アンモニア / 抽出 / リサイクル / 水素発生 |
Research Abstract |
液体アンモニアは、外装物などの電池構成材を溶解せずに、リチウムのみを金属状態で、安定に溶かす。従って、廃棄リチウム1次電池中の金属リチウムのみを抽出し、アンモニアを蒸発させることにより、(1)金属リチウムを金属状態のまま回収することが可能であり、(2)水素ガスの発生なしで、安全にリチウム電池を処理することができる。金属リチウムの液体アンモニアへの溶解速度は極めて速く、その意味では、廃棄リチウム1次電池からのリチウムの抽出は容易であると考えられるが、1次電池の正極物質に使用されているMnO_2はリチウムイオンをインタカレーションできるため、抽出したリチウムが、MnO_2にインターカレートすることにより、消費されることが懸念された。そこで、この問題について詳細に検討するために、液体アンモニアに溶解したリチウムとMnO_2の反応速度を実験的に導出した。具体的には、(1)-40℃〜-60℃で保持した0.007〜0.015mol%程度のリチウムを含むアンモニア溶液に、円柱状MnO_2を浸漬し、溶液中のリチウム濃度の減少速度をその場連続測定した。次ぎに、(2)MnO_2を円柱状に成形し、これを連続的に回転数を変化できる支持棒に取り付け、反応の律速過程を定量的に評価した。これらの実験事実から、MnO_2とリチウムの反応速度は、温度の低下とともに急激に減少し、例えば、-60℃では、1.8ksの反応時間でもわずか14%のリチウムが反応により消費されるにすぎないことがわかった。また、上記実験の速度論的解析結果から、反応の律速過程は、MnO_2表面での化学反応が主である可能性が高いことが判明した。
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