2000 Fiscal Year Annual Research Report
高度なタンパク質安定化機能を有する糖類アモルファスマトリクスの創製
Project/Area Number |
12750664
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
今村 維克 岡山大学, 工学部, 助手 (70294436)
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Keywords | 糖類アモルファス構造 / 複合マトリクス / タンパク質安定化 / 物理的安定性 / ガラス転移 / デキストラン / スクロース / 凍結乾燥 |
Research Abstract |
目的 不安定なタンパク質を安定化する手法の一つとして、タンパク質を糖などの安定化剤とともに凍結乾燥することでタンパク質を糖のアモルファスマトリクスに包埋し、保存中の変性、失活を低減する手法がある。このタンパク質安定化剤としてはスクロースなどの低分子量の糖は高い安定化作用を有するものの、吸湿や熱により容易にコラプスするという欠点がある.一方,デキストランなどの多糖類は安定化作用は極めて低いものの,物理的安定性に優れていることが知られている。従って,高い安定化作用を有する少糖と高い物理的安定性を有する多糖を組み合わせることで,高度な安定化作用と物理的安定性を併せ持つ新規な糖類アモルファスマトリクスを構築出来る可能性がある.今回は、この新規な安定化剤である少糖-多糖複合アモルファスの物理的安定性(ガラス転移温度,Tg)に及ぼす少糖-多糖の組成の影響について検討した。 方法 少糖としてsucrose、多糖として分子量の異なる3種類のdextran(MW1500,6000,20000)を用いた。これらのsucrose、dextranを様々な割合(0〜100%)で含む凍結乾燥試料を作成し,一定相対湿度下で平衡化したときのTgについて検討した. 結果 sucrose-dextran試料のガラス転移温度はいずれの相対湿度、分子量においても同様な傾向を示し、dextran含有率が40%程度まではdextranによるTgの増加はほとんど見られず、50%以上で顕著なTgの上昇が見られた。これは、ある程度dextran含有率が高くならないと、アモルファスマトリクスの強化を担うdextranの骨格マトリクスが形成されないためと考えられる。このことから、sucroseとdextranからなる複合マトリクスの場合、物理的安定性を改善するには50%以上デキストランを添加する必要があることが分かった。
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