2000 Fiscal Year Annual Research Report
水に不溶性の単量体を乳化重合する際に水溶性包摂物質が果たす動力学的役割の解明
Project/Area Number |
12750676
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
鈴木 清 福井大学, 工学部, 助手 (30283162)
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Keywords | 乳化重合 / シクロデキストリン / 動力学 / メタクリル酸ステアリル / ミニエマルション重合 / モノマー滴 / 拡散 / 包摂 |
Research Abstract |
1 水溶性包摂物質の添加で重合後の生成粒子径が異なる系の模索 Rimmerら(Polymer1999年40巻5729頁)は、水不溶性モノマー、メタクリル酸ステアリル(SM)を70℃乳化系で重合し、水溶性包摂物質β-シクロデキストリン(CD)を重量分率約1%共存させると安定な高分子微粒子分散ラテックスが得られるが、非共存では得られないと報告した。彼らは、β-CD分子がSM分子を包摂して水に溶解し、単量体滴からミセルや微粒子へのSMの拡散が促進されてSMが乳化重合可能となると主張している。 2 重合速度・生成粒子径へのβ-CD量の影響 本研究ではβ-CD添加量を変えてSMの乳化系で70℃で重合を行い、β-CD量が重合速度・生成粒子径に及ぼす影響を調べた。β-CDが重量分率1%共存する場合でも共存しない場合と重合速度は同一であり、β-CDの有無に依らず、生成物は直径数ミクロンの粒子を含み、30分静置すると粒子が液から分離した。また、仕込SMとほぼ同重量のポリスチレン粒子(平均径108nm)及びスチレンを予め加えてシード共重合も行ったが、SMの重合速度はβ-CDの有無で変化しなかった。以上の結果は、β-CDを添加してもSMの単量体滴からミセルや微粒子への拡散は促進されず、乳化重合が起こらないことを示す。 3 ミニエマルション重合による微粒子分散水性ラテックスの調製 上記の系でのβ-CD添加は水性ラテックス生成に有効でないことが確認された。水性ラテックス生成の別法として、ミニエマルション重合を試みた。上記の系(β-CD非共存)をナノマイザー(吉田機械興業(株))で乳化し、平均径140nmの単量体滴を得た。それを70℃で重合したところ、平均径150nmの粒子が生成し、系を予め乳化しない場合に比べて、重合速度が遥かに高かった。 水性ラテックス調製法としてはミニエマルション重合が有効である。
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