2000 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウム添加を利用した新規金属イオン分離剤の開発
Project/Area Number |
12750680
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
大渡 啓介 佐賀大学, 理工学部, 助手 (70243996)
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Keywords | カリックス[4]アレーンカルボン酸 / 共抽出 / ナトリウムイオン / イオン交換樹脂 / 分離 / 選択性 |
Research Abstract |
Cone構造でlower rim側のdistal位にスペーサー長の異なったカルボキシル基を有する、3種類の交差カルボン酸型カリックス[4]アレーン誘導体(酢酸-酢酸、酪酸-酢酸、及び吉草酸-酪酸)を合成し、多孔性樹脂であるAmberlite XAD-7に1:4の割合で含浸した。調製したこれらの樹脂によるナトリウム非添加・添加系での金属イオンの吸着挙動について検討した。これらの樹脂によるナトリウム添加系での2価金属イオン(銅、コバルト、亜鉛)の吸着は、ナトリウム非添加系での吸着よりも低pH領域で起こることが明らかとなった。すなわち、0.05mol dm^<-3>程度の低濃度のナトリウムを添加するだけで、3つの吸着剤の吸着能力は向上した。以前の抽出に関する研究結果から予想されるように、ナトリウムと他金属との共抽出(吸着実験の場合では、共錯形成)機構によるものであると考えられる。酢酸-酢酸型の樹脂では、吸着能力の向上の度合いは添加するナトリウムイオン濃度に依存することが明らかとなった。これは共抽出を起こすのに不可欠なナトリウムと阻害を起こすナトリウムの両方が存在することを示唆していると考えられる。また、少量のナトリウムの添加でも鉛イオンの吸着が阻害された。これは、鉛の錯形成が吸着能力を向上させるのに必要なナトリウムの配位位置と同じサイトで取り込まれるためであると考えられる。 また、3種の樹脂の分離挙動について比較すると、スペーサー長が長くなることでNaとCu間の立体反発が解消されるため、分離性能に影響すると考えられる。例えば、銅とコバルトの分離については、最適なスペーサー長は酪酸基を有するものであった。また、スペーサー長の変化は金属イオン間の立体反発に影響するだけでなく、金属イオンの配位数や形状、錯体の化学量論などに影響を受けるため、分離に関してはより詳細な検討が必要である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 大渡啓介,井上勝利: "カリックス[4]アレーンカルボン酸含有樹脂による金属イオンの吸着"化学工学シンポジウムシリーズ,金属のリサイクル及び環境問題. 74巻. 109-118 (2000)
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[Publications] K.Ohto,S.Kuwata,H.Ishibashi,K.Inoue: "Metal Extraction with Sodium-Loaded Calix[4]arene Carboxylates"Proceeding of XVth International Symposium on Physico-chemical Methods of the Mixtures Separation, ARS SEPARATORIA 2000. 116-118 (2000)
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[Publications] K.Ohto,S.Kuwata,H.Ishibashi,K.Inoue: "Effect of Spacer on Sodium-Metal Coextraction with Calix[4]arene Carboxylates"XXV International Symposium on Macrocyclic Chemistry, MACROCYCLES 2000. 52-52 (2000)
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[Publications] K.Ohto,T.Shinohara,K.Inoue: "Development of Novel Types of Resins Containing Calix[4]arene Carboxylates for Adsorption of Metal Ions"Proceedings of The 1st Joint China/Japan Chemical Engineering Symposium. 658-663 (2000)
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[Publications] K.Ohto,H.Higuchi,and K.Inoue: "Solvent Extraction of Silver Ion with Pyridino Calix[4]arenes"Solvent Extraction Research and Development, Japan. 8(In Press). (2001)