疎水性酵素の分離・精製に適した新規両親媒性粒子の開発

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12750682
• Research Institution: Osaka Prefecture University
• Principal Investigator: 安田 昌弘 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40264808)
• Keywords: 両親媒性官能基 / 両親媒性粒子 / タンパク質 / 重合特性 / 粘度 / 停止反応 / マクロモノマー

Research Abstract

本研究は、培養液や細胞破砕液から直接タンパク質を安定な相へ抽出できる系を構築するなど、疎水性の強いタンパク質を効率よく分離・精製できる新規両親媒性高分子粒子を合成することを目的とした。申請者はこれまで、両親媒性の官能基である2-[(p-1,1,3,3-テトラブチル)フェノキシポリエトキシ]エチル基を有するモノマー(以下MAX-nと略す。nはポリエトキシ基の重合度)の合成を検討し、nが1.5から9.7のMAX-nを合成するとともに、これをポリスチレン単分散粒子に吸収、重合させて両親媒性の官能基を持つ高分子粒子を合成している。粒子に結合している官能基の親水性部分と疎水性部分の構造が、疎水性の強いタンパク質の吸着量および安定性に大きな影響を与えるので、本年度は、nが9.7よりも大きい70.5までのMAX-nの合成およびMAX-nの重合特性を調べた。MAX-nの合成収率は、nに影響を受けず、いずれの場合も約80%であった。次に、クロロホルム中の溶液重合におけるMAX-nの重合特性を調べた結果、MAX-nのnが大きいほど重合速度が大きいことがわかった。また、重合速度におよぼすモノマー濃度および開始剤濃度の影響を調べた結果、MAX-nの重合速度はnに関係なくモノマー濃度の1.25次、開始剤濃度の0.47次に比例することがわかった。MAX-nの重合速度がモノマー濃度の1.25次に比例する理由を調べるために、MAX-nのクロロホルム溶液の粘度が重合速度におよぼす影響を解析した結果、モノマー濃度の増加が反応液の粘度を増大させるために、停止反応速度定数が減少し、MAX-nの重合速度がモノマー濃度の1.25次に比例することが分かった。

Research Products

• [Publications] M.Yasuda et al.: "Synthesis and Radical Polymerization Kinetics of Amphiphilic Methacrylic Monomers having 2-[p-(1,1,3,3-Tetramethyl-Butyl)Phenoxy-Polyethoxy] Ethl Group"Journal of Chemical Engineering Japan. (in press).