2000 Fiscal Year Annual Research Report
有機溶媒を用いる新規酸化物調製法:環境浄化用大表面積・耐熱性触媒担体への展開
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12750694
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
古南 博 近畿大学, 理工学部, 講師 (00257966)
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Keywords | 触媒担体 / 環境浄化触媒 / 酸化チタン / 耐熱性 / 大表面積 / 有機溶媒 |
Research Abstract |
高温高圧下の有機溶媒中でチタンアルコキシドおよび修飾第二成分の混合物を熱分解させる手法により、シリカ、アルミナおよびリン修飾酸化チタンを合成した。いずれの修飾剤を用いたときも、未修飾の酸化チタンに比べ高温焼成後の比表面積が大きく、耐熱性に優れていることが明らかとなった。チタン源にチタンイソプロポキシド(TIP)、シリカ源にオルトケイ酸メチル(TMOS)をトルエン中、300℃で熱分解させて得られたシリカ修飾酸化チタン(Ti/Si比9)はアナタース構造を有しているがその格子定数は未修飾のものより小さくなっていた。また、X線光電子分光スペクトルにはバルクのシリカ(SiO_2)に帰属されるピークは認められなかった。これらのことから、ケイ素はアナタース骨格に分散(あるいは固溶)していると結論した。このシリカ修飾酸化チタンのルチル相転移温度が1100℃と未修飾試料のものより300℃以上高くケイ素(あるいはシリカ)が酸化チタンの相転移を著しく抑制していることが明らかとなった。また、アナタースの結晶成長がケイ素により抑制されるために800℃焼成後の比表面積が160m^2g^<-1>ときわめて耐熱性に優れていた。第二成分にアルミニウムのアルコキシドを用いたときは、その反応性が生成物の熱安定性に影響を及ぼすことが明らかとなった。それ自身単独で熱分解するアルミニウムt-ブトキシドを用いると酸化チタン中のアルミニウム種の分散性が悪く、耐熱性が劣ったのに対し、単独で熱分解しないエトキシドを用いると高い熱安定性を示した。同様にリン酸エステルを用いてもリン種がアナタース骨格に分散し、ルチル相転移や結晶成長を抑制し、高い耐熱性を示した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 河野将明,古島利美,古南博,香川公司,計良善也: "耐熱性アルミナ修飾チタニアの新規合成法:有機溶媒中におけるアルコキシドの熱分解"日本化学会誌. 2001・3. 179-182 (2001)
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[Publications] 河野将明,古島利美,古南博,香川公司,計良善也: "高温・高圧下の有機溶媒中におけるチタンアルコキシドとリン酸エステルの共熱分解による耐熱性リン修飾酸化チタンナノ結晶の合成"J.Ceram.Soc.Jpn. 109・4. 325-330 (2001)
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[Publications] H.Kominami,M.Kohno,Y.Matsunaga,Y.Kera: "Thermal Decomposition of Titanium Alkoxide and Silicate Ester in Organic Solvent : A New Method for Synthesizing Large-Surface-Area, Silica-Modified Titanium (IV) Oxide of High Thermal Stability"J.Am.Ceram.Soc.. (印刷中).