2001 Fiscal Year Annual Research Report
チアカリックスアレーンの超分子錯体形成を利用する水中の微量有機分子のセンシング
Project/Area Number |
12750710
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
壹岐 伸彦 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助手 (50282108)
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Keywords | チアカリックスアレーン / カリックスアレーン / 希土類金属 / 金属錯体 / エネルギー移動発光 / 超分子 / ハロメタン / レセプター |
Research Abstract |
本研究は新しいホスト分子、水溶性チアカリックスアレーン(TCAS)とその架橋硫黄酸化体(SO_2CAS)の希土類金属錯体を発光レセプターとして利用し、その超分子形成による水溶性有機分子のセンシングを目的としている。前年度までに、(i)TCAS、SO_2CASおよび従来のカリックスアレーンCASを用い、発光レセプター([Tb^<III>(tcas)]、[Tb^<III>(so_2cas)]および[Tb^<III>(cas)_2])を生成させ、(ii)これらの良好なエネルギー移動発光特性を。明らかにしている。これらをもとに、本年度は下記(III)を検討した。 (III)カチオン性ゲストとの超分子錯体形成における発光挙動変化の評価 ・テトラアルキルアンモニウムイオン:ゲストの添加に対して各レセプターの励起スペクトル変化は小さく、感度は高くなかった。これはレセプターゲストの会合定数が小さいためと考えられる。 ・エチルビリジニウム(EtP^+イオン:[Tb^<III>(tcas)]および[Tb^<III>(cas)_2]の発光を感度良く消光した。これは各レセプターからEtP^+への電子移動によるためと考えられる。Stern-Volmerプロットから、EtP^+の検出限界(S/N=3)はそれぞれ5.6、5.9×10^<-8>Mであった。 ・エチルキノリニウム(EtQ^+)イオン:[Tb^<III>(tcas)]を高感度に消光し、検出限界(S/N=3)は6.7×10^<-10> Mであった。発光強度および寿命に対するStern-Volmerプロットは一致し、Tb(III)の励起状態からの失活を示唆している。また、消光速度定数は1.0×10^<10>M^<-1>s^<-1>であり、消光は拡散律速であることが分かった。 以上、架橋硫黄型カリックスアレーンの錯形成能とゲスト分子認識能を超分子的に利用し、微量有機分子をセンシングできることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 壹岐伸彦 他: "Selective Oxidation of Thiacalix[4]arenes to the Sulfinyl and Sulfonyl Counterpart and Their Complexation Abilities toward Metal Ions as Studied by Solvent Extraction"Tetrahedron. 57・26. 5557-5563 (2001)
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[Publications] 壹岐伸彦 他: "Energy Transfer Luminescence of Tb^<3+> Ion Complexed with Calix[4]arenetetra-sulfonate and the Thia and Sulfonyl Analogue.The Effect of Bridging Groups"J.Chem.Soc.,Perkin Trans.2. 2001・11. 2219-2225 (2001)
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[Publications] 壹岐伸彦 他: "Inclusion Behavior of Thiacalix[4]arenetetrasulfonate toward Water-Miscible Organic Molecules Studied by Salt-Out and X-ray Crystallography"Org.Lett.. 4・4. 509-512 (2002)
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[Publications] 壹岐伸彦 他: "多彩な可能性を秘めた新規ホスト化合物ーチアカリックスアレーンー"日本化学会誌. 2001・11. 609-622 (2001)
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[Publications] 壹岐伸彦 他: "Proximal O, O'-Capped Calix[4]arenes with a Disiloxane Bridge as Highly Efficient Synthetic Intermediates for 1,2-Dialkylation at the Lower Rim"Tetrahedron Lett.. 43・4. 621-625 (2002)
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[Publications] 壹岐伸彦 他: "Can Thiacalixarene Surpass Calixarene?"J.Incl.Phenom.Macrocycl.Chem.. (印刷中). (2002)