2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12750711
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久本 秀明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (00286642)
|
Keywords | マイクロチップ / 有機合成 / 液液界面 / 電場効果 |
Research Abstract |
本研究では、ミクロな液液界面と電場を利用し、液相中での物質移動・分子配向を空間的に制御した、マクロな反応では実現し得ない有用な化学反応を実現する。ここでは液相微小空間に液液界面を形成させて界面近傍の溶質分子配向軸の一つを制御し、さらにこの微小空間に電場を与え、これを二軸目の分子配向の駆動力とすることで、不斉合成など、選択的合成反応を制御することを目的とする。 本年度はマイクロチャネルの上下に電極材料を密着させて電場印加用マイクロチップを作製した。このチップを用い、液液界面に対して水平方向に電場を印加し、その電場が反応収率に与える効果を検討した。 その結果、平板状液液界面が電場印加方向に対して平行に形成される場合には、電場印加に伴う収率向上効果が顕著に現れるのに対し、液液界面が乱れている場合には、電場印加に伴う収率向上効果が見られないことを見出した。 これはチャネル内に形成された液液界面が、空間的に方向性を持った化学反応場であるために、マイクロチップ面に対して垂直方向に印加された電場の効果を有効に受けた結果と考えられる。 この結果は、液相微小空間が有する特徴を選択的有機合成反応制御に適用可能であることを見出した最初の例であり、通常のマクロスケール反応では実現不可能な合成反応制御を実現した。 現在、この原因を明らかにするために、電場印加に伴うチャネル内温度上昇、反応基質分子の分子配向効果、物質移動促進効果などに着目した検討を進めている。チャネル内温度測定実験の結果、最初の項目である電場印加に伴う温度上昇効果は認められなかった。今後、他の項目について実験的にメカニズムを明らかにしていく予定である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] H.Hisamoto et al.: "On-Chip Integration of Neutral Ionophore-Based Ion Pair Extraction Reaction"Analytical Chemistry. 73(in press). (2001)
-
[Publications] A.Hibara et al.: "Integrated Multilayer Flow System on a Microchip"Analytical Sciences. 17. 89-93 (2001)