2000 Fiscal Year Annual Research Report
スピネル型構造を有するリチウムインサーション酸化物材料の電子状態に関する研究
Project/Area Number |
12750730
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
内本 善晴 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (50193909)
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Keywords | リチウム電池 / スピネル / リチウムインサーション / 電子状態 / 酸化物 |
Research Abstract |
リチウム二次電池の次世代正極材料として注目されているリチウムマンガンスピネル型酸化物のリチウムイオンの脱離・挿入に伴う電子構造変化を、X線吸収微細構造法を用いて明らかにすることを目的とし、MnL殻XANES測定、酸素K殻XANES測定を行った。リチウム含量が多い試料ほど3価のMnに帰属されるスペクトルが大きくなり、リチウム含量が少なくなるにつれて、4価のMnに帰属されるピークの増加が観察された。また、リチウムイオンを電気化学的手法により脱ドープした試料について酸素K殻XANES測定を行った結果、最もエネルギーの低い527eV付近のピーク強度が増加することが明らかとなった。このピークは、Mn 3dと混成したバンドに対応しており、これは、リチウムが脱離した際に生じた正孔がO 2p軌道に導入されていることを示している。Mn-L殻XANES測定の結果と合わせて考えると、リチウム脱離に伴い、Mnの価数が形式的に4価になり、その基底状態は、3d^3と3d^4L(Lはp正孔を表す)の混成状態になっていると結論できる。つまり、LiMn_2O_4の充放電に伴う電荷補償に、酸素の2p軌道が大きな役割を果たしていることを実験的に初めて明らかにした。また、リチウムイオンを電気化学的手法によりドープした試料について、約534eV付近にピークが観察された。リチウム含量が1よりも大きくなると、ヤーン・テラー歪みのために正方晶が出現し、e_g↓軌道が分裂したためであると考えられる。
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