2000 Fiscal Year Annual Research Report
分子状水素錯体を用いた水素分子の触媒的ヘテロリティック開裂反応の開発
Project/Area Number |
12750747
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西林 仁昭 京都大学, 工学研究科, 助手 (40282579)
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Keywords | アンモニア / ルテニウム / ヘテロリティック開裂反応 / 窒素錯体 / 水素化分解 / 水素錯体 / プロトン化 / 不斉合成 |
Research Abstract |
タングステン窒素錯体とルテニウム分子状水素錯体とを用いた非常に温和な条件下での化学量論的なアンモニア合成反応において、ルテニウム錯体に配位した配位水素分子の酸性度と、生成するアンモニア収率との間に相関関係があることを明らかにした。即ち、配位水素分子の酸性度がpKa値で10を越えると、アンモニア収率が大きく低下する傾向が見られた。また、先の化学量論的なアンモニア合成反応をNMRにより追跡し、タングステンに配位した配位窒素の末端がプロトン化されたヒドラジド錯体が、反応中間体として生成していることを明らかにした。 また、架橋硫黄-モリブデン錯体上で水素分子がヘテロリティックに活性化されることに着目し、この系をタングステン窒素錯体との反応に適用することで、配位窒素分子と水素分子とからの常温常圧の条件下でのアンモニア合成に成功した。この結果は、窒素固定酵素ニトロゲナーゼや水素変換酵素ヒドロゲナーゼなどの生体内酵素の機能との関わりからも興味が持たれる。 一方、プロキラルなシリルエノールエーテルの水素を用いた不斉プロトン化反応を行うために、光学活性二座ホスフィンを有する新規なルテニウム分子状水素錯体の合成を行い、その詳細な構造を単結晶X線構造解析装置を用いて明らかにした。さらに、水素分子のヘテロリティック開裂反応を利用したプロキラルなシリルエノールエーテルの水素化分解反応による光学活性なケトンを得る触媒的な不斉合成反応への応用を現在検討している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Shin Takemoto et al: "Synthesis and Structures of 1,1'-Ferrocenedithiolato-Bridged Di-and Trinuclear Ruthenium Complexes"Organometallics. 19・16. 3249-3252 (2000)
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[Publications] Yoshiaki Nishibayashi et al: "Cyclization of Terminal Diynes Catalyzed by Thiolate-Bridged Diruthenium Complexes : A Simple Synthetic Route to Endo-Macrocyclic (Z)-1-En-3-ynes"Anewg.Chem.,Int.Ed.Engl.. 39・16. 2909-2911 (2000)
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[Publications] Yoshiaki Nishibayashi et al: "Novel Propargylic Substitution Reactions Catalyzed by Thiolate-Bridged Diruthenium Complexes via Allenylidene Intermediates"J.Am.Chem.Soc.. 122・44. 11019-11020 (2000)
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[Publications] Yoshiaki Nishibayashi et al: "Formation of Ammonia in the Reactions of a Tungsten Dinitrogen with Ruthenium Dihydrogen Complexes under Mild Reaction Conditions"Inorg.Chem.. 39・26. 5946-5957 (2000)
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[Publications] Yoshiaki Nishibayashi et al: "Protonation of Coordinated N_2 on Tungsten with H_2 Mediated by Sulfido-Bridged Dinuclear Molybdenum Complexes"Inorg.Chem.. 40・3. 578-580 (2001)