2001 Fiscal Year Annual Research Report
新規光学活性遷移金属ルイス酸錯体による不斉炭素―炭素結合生成反応の開発
Project/Area Number |
12750761
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
本山 幸弘 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (20283492)
|
Keywords | 光学活性 / 遷移金属 / ルイス酸 / 不斉 / ビスオキサゾリニルフェニル / Diels-Alder / アリル化 / アルドール |
Research Abstract |
まず、DanishefskyジエンをもちいたヘテロDiels-Alder反応では、わずか2mol%の(Phebox)RhCl_2(H_2O)錯体で高収率、高ジアステレオならびに高エナンチオ選択的にグリオキシラートとの環化生成物が得られることを見い出すと共に、本反応が完全な[4+2]型Diels-Alder機構でendo-遷移状態を経て進行していることを明らかにした。さらに触媒活性ならびにエナンチオ選択性の向上を目的として、(Phebox)RhX_2(H_2O)錯体(X=Br,F)を新たに合成し反応に用いたところ、ジブロム錯体では触蝶活性の向上、またジフルオロ錯体ではエナンチオ選択性が向上することを見い出した。 一方、アリルスズを用いるアルデヒドのアリル化反応では、完全なルイス酸触媒機構でアルデヒドのsi-面から例外なくアリルスズが反応すること、クロチルスズを用いた場合、通常のルイス酸促進反応とは逆のアンチージアステレオ選択性を示すことを見い出した。さらにこの特異なアンチージアステレオ選択性、ならびにsi-エナンチオ選択性は、このロジウム錯体の持つ6配位オクタヘドラル構造に由来し、通常とは逆のアンチペリプラナー遷移状態を経て反応が進行していることを明らかにした。また、このロジウム錯体は金属近傍が非常に込み合っているため、嵩高い基質が配位しにくくなっているという特徴を生かして、アミノ官能基を有するアルデヒド類を用いた触媒的アリル化反応についても検討を始めた。その結果、予備的実験において、予想通り触媒的に反応が進行することを見い出した。現在、触媒活性ならびに不斉誘機能について詳細に検討しているところである。 また、このロジウム錯体は、イソニトリル類とも安定に錯形成することを見い出した。そこでα-位に電子吸引基を有するイソニトリル類とアルデヒドとのアルドール型環化反応について検討を行なった。その結果、反応は触媒的には進行せず等量反応ではあったが、金属上でアルドール型環化反応が進行し、Fischer型カルベン錯体が収率よく、高ジアステレオ選択的に得られることを見い出すと共に、この特異な高原子価ロジウムカルベン錯体のX線結晶構造解析にも成功した。 今後は、このアルドール型環化反応を触媒的不斉反応へと展開していく予定である。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Y.Motoyama: "Formation of Fischer Carbene Complexes in Asymmetric Aldol-Type Condensation of Isocyanide Component on Bis(oxazolinyl)phenylrhodium(III) Complexes with Aldehydes: Stereochemistry,Structural Characterization,and Mechanistic Studies"Organometallics. 21(印刷中). (2002)
-
[Publications] Y.Motoyama: "Bis(oxazolinyl)phenylrhodium(III) Aqua Complexes: Synthesis, Structure, Enantioselective Allylation of Aldehydes,and Mechanistic Studies"Organometallics. 20. 1580-1591 (2001)
-
[Publications] Y.Motoyama: "Asymmetric Hetero Diels-Alder Reaction of Danishefsky's Dienes and Glyoxylates with Chiral Bis(oxazolinyl)phenylrhodium(III) Aqua Complexes,and Its Mechanistic Studies"Tetrahedron. 57. 853-860 (2001)
-
[Publications] Y.Motoyama: "Chiral Ruthenium-Bis(oxazolinyl)pyridine Complexes of α,β-Unsaturated Carbonyl Compounds:Enantioface-Selective Coordination of Olefins"Organometallics. 19. 1025-1034 (2000)
-
[Publications] Y.Motoyama: "Lewis Acids in Organic Synthesis"Wiley-VCH Verlag GmbH. 30 (2000)