希土類磁性粒子/高分子溶液分散系のレオジロー挙動と粒子分散構造

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12750788
• Research Institution: Yamagata University
• Principal Investigator: 工藤 益男 山形大学, 工学部, 助手 (30250955)
• Keywords: 磁性塗料 / ボンド磁石 / 希土類磁性粒子 / 粒子分散性

Research Abstract

本研究では、ボンド磁石の磁気特性及び生産性向上のために、従来の加圧成形法に代えて、磁性塗料をコーティングした後、磁化させる手法により作製することを提案する。この場合、高い磁性粒子充填密度(50vol%以上)が要求されることから、塗料中における磁性粒子の分散安定性及び粒子分散状態を精密に制御する必要がある。本研究ではこの点に着目し、分散性安定性の高い塗料配合について検討を行った。
磁性粒子として、磁気特性に優れた希土類磁石の一種であるネオジウム-鉄-ホウ素(Nd-Fe-B)系粒子(粒子径<20μm)を用いた。塗料作製方法は、磁気記録媒体の場合に準じて作製し、その際高分子バインダーとして、塩化ビニル系共重合体、メラミン樹脂及びポリエステル系ポリウレタン等を使用した。なお、溶剤(メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン)を除いた不揮発成分中に占める粒子濃度を50-80vol%とした。
種々の配合・分散条件で磁性塗料を試作した結果、以下の知見を得た。1)ボールミルによる分散の場合、ゆるやかな条件下では、塗膜に空隙が見られるが、一方過酷な条件下では静磁気特性が低下し、最適分散条件が存在する、2)バインダーとして、スルホン酸基を有する極性基含有ポリマーを使用すると分散性が向上し、粒子充填密度が高くなる、3)磁性粒子をシランカップリング剤で表面処理した後、高分子溶液中に分散させた場合も、静磁気特性が向上する。
本研究で得られた塗膜の磁気特性はHc=3000-3300Oe,Br=4500-5300G,Bs=7000-8600Gであり、これは希土類ボンド磁石よりはやや低い特性であるが、加圧成形による一般的なボンド磁石よりは優れており、塗料コーティングによるボンド磁石作製の可能性が確認された。今後、さらに磁性粒子分散性を向上させ、優れた磁気特性及び塗膜物性を有するボンド磁石作製を目指す。