2001 Fiscal Year Annual Research Report
顕微光散乱によるゲルに特異なパターンの内部構造の研究
Project/Area Number |
12750793
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
古川 英光 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (50282827)
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Keywords | ゲル / 膨潤 / パターン / 光散乱 / 温度ジャンプ / 体積相転移 / 網目 / 揺らぎ |
Research Abstract |
1.精密な温度可変装置の作製 走査型顕微光散乱装置を用いて、膨潤相と収縮相のドメインが共存する状態において、両相を同時測定するために、従来よりも大型の恒温セルを作製した。このセルを用いれば、直径10mm、長さ50mmまでの円柱状ゲルの測定が可能である。このセルの内部に白金抵抗体を取り付け、精密に測温並びに温調を行い、設定精度として±0.02℃、安定時の精度として±0.005℃を実現した。また、既存の小型恒温セルの改良も行い、片方の相のみの観察に限られるが、市販品では容易に到達できない精度として0.001℃以下の安定度を実現した。これにより、体積相転移点のごく近傍における測定が可能になった。 2.走査型顕微光散乱を用いた共存ドメイン構造内部の不均一性と拡散係数の直接測定 体積相転移を起こすN-イソプロピルアクリルアミドゲルを、相共存が生じ易い網目構造ができるような条件を探し、その条件下で調製した。走査型顕微光散乱装置を用いて調製したゲルの収縮相について詳細に調べ、これまで全く報告例の無い、動的な揺らぎの位置依存性を定量的に測定した。また、温度感応性の高い、グラフト鎖をもつゲルを新規に合成した。これを動的光散乱で測定し、ノーマルなゲルにはみられない遅い緩和モードを測定した。この測定結果は高速収縮メカニズムの解明につながると考えられ、現在も詳細な測定を継続している。
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