2000 Fiscal Year Annual Research Report
偏光変調分光法による高分子フィルムの多層配向構造評価法の確立
Project/Area Number |
12750794
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
堀中 順一 福井大学, 工学部, 助手 (00313734)
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Keywords | 偏光変調分光法 / 高分子フィルム / 配向構造 / Mueller Matrix法 / 二色性 / 複屈折 |
Research Abstract |
まず、フィルムの多層構造評価の起点として、単層(均一)な試料が示す見かけの円二色性、直線異方性の定量的評価を行なった。試料としてポリメタクリル酸メチルやポリビニルアルコールのフィルムを用い、必要に応じ染色や一軸延伸を行なった。また試料としては高分子フィルム以外の場合として硫酸ニッケルの無機単結晶も用い、同じ解析法が適用できるかを確認した。定量的な評価にはMueller Matrix(MM)法を用いた。MM法は光の偏光状態、各光学要素を行列として表現する、偏光変調分光法に有効といわれている解析手法である。試料の調製条件を整えることが困難であったが、高分子フィルムに関してはMM法による定量的な解析が可能であることが分かった。しかし、より一般的に無機結晶にも適用可能かどうかは測定条件の範囲が狭く結論は出ていない。本法は測定の感度が高いことが特長であるが、逆に試料の異方性が大きい場合に定量性に問題が生じることが判明した。 次に配向度の異なる高分子フィルムを二枚重ねた場合を、二層構造のモデルとして測定した。最も簡単に配向方向をそろえた場合でも、試料の調製条件によって結果に違いが見られた。観測される見かけの円二色性、直線異方性のシグナルには、光が試料を通過するときの僅かな反射なども影響するため、フィルムの表面形状や重ね方といったモデル実験の測定条件を整えることが予想以上に難しいことが分かった。フィルムに対する染色や延伸といった加工方法を工夫することで解決を目指し、定量的な解析を可能にする。 測定と同時にMM法についても検討した。二層程度では地道な行列計算も可能であるが、多層となると現実的には不可能な複雑な計算となる。したがって行列の中に現れるあらゆる光学因子の中から、考慮すべき因子とその範囲を定量的に見積もった。実用的な解析法の確立に結びつくものと考えている。
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