2000 Fiscal Year Annual Research Report
小麦における雪腐病菌エリシター応答とカルシウム依存的リン酸化カスケードの解明
Project/Area Number |
12760027
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
竹澤 大輔 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (20281834)
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Keywords | 雪腐病 / エリシター / カルシウムイオン / タンパク質リン酸化 |
Research Abstract |
小麦では、雪腐病の原因である黒色小粒菌核病菌(Typhula ishikariensis)由来のエリシターで細胞を処理すると、複数の病気抵抗性関遺伝子が新たに誘導される。このような遺伝子発現に必要なシグナル伝達には、エリシター処理により一時的に増加する細胞内カルシウムイオンとエリシターにより誘導されるMAPキナーゼ「WCK-1」が関与していることが示唆されている。 今年度、雪腐れ病菌由来のエリシターによって誘導されるカルシウム結合タンパク質CCD-1遺伝子を単離した。精製したCCD-1タンパク質は13kDa付近に電気移動度を示した。非変性条件下での電気泳動においては、カルシウム依存的移動度シフトを示した。さらに、このタンパク質は疎水性担体であるフェニルセファロースとカルシウム依存的に結合した。この結果から、EF-ハンドへのカルシウムの結合がCCD-1に構造変化を引き起こし、結果として疎水性が高まったと考えられた。このようなカルシウム依存的な疎水担体への結合は、カルモジュリンなどで示唆されているようにLeu、Metなどの疎水性残基が関与している可能性が考えられる。CCD-1がLeuやMetに富んでいることからもカルシウム依存的な構造変化が疎水残基を介しておこなわれていることが推察され、このような性質が他のタンパク質とのカルシウム依存的な相互作用に機能している可能性が考えられた。 CCD-1の生理学的機能を解析するために、ccd-1遺伝子を改変CaMV35Sプロモーター下流に結合して小麦培養細胞に導入した。導入は、パーティクルデリバリーシステムにより、形質転換細胞はビアラフォスを含む培地上で選別した。得られた細胞は、コントロール細胞のエリシター誘導したもの(40分後)比べても4〜7倍のccd-1 mRNAを発現していた。過剰発現されたCCD-1のエリシター応答への影響を調べるために、形質転換細胞おけるエリシター誘導性遺伝子WCK-1の発現を解析した。ノーザン解析の結果、形質転換細胞ではコントロールに比べてWCK-1遺伝子の発現誘導が変化していることが示された。
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Research Products
(1 results)