2000 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムプローブを用いた昆虫染色体における分子変異の視覚化-家蚕のComparative Genomic Hybridizartion(CGH)による染色体同定-
Project/Area Number |
12760036
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐原 健 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (30241368)
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Keywords | CGH / ゲノムDNA / FISH / レトロトランスポゾン / 家蚕 / 性染色体 / 染色体同定 / NOR |
Research Abstract |
本年度の研究計画に従い以下に示す家蚕CGHの実験設定を完成させた。つまり、核酸接合型の蛍光分子(Cy3:赤色とFluorX:緑色)をラベルした雌雄ゲノムDNAをプローブとしてFISHを行い、最適なプローブ濃度(1染色体標本につきCy3ラベルが2μg、FluorXラベルが3μg)、ハイブリダイゼーション(72.5℃で18〜24時間)、洗浄条件(1%TritonXを含むバッファー62℃1回と常温の1%TritonX溶液2回と常温の写真洗浄剤バッファー2回と溶液1回)を決定した。シグナルイメージの獲得条件は蛍光取り込みシステムの推奨する設定で分析は画像解析ソフトにより行った。異なるラベルを施した雌雄ゲノムプローブを用いてCGHシグナルを解析した結果、これまで同様な長さの2価染色体と考えられていたWZ染色体対はZ染色体がW染色体に螺旋状に絡みつくシナプシスを形成する可能性が示唆された。また、雌のみの蛍光ラベルプローブによるWZ染色体対の検出を実現した。これは昆虫における初ののGISH(genomic hybridization)の成功例である。この応用法によりペインとされたW染色体をメルクマールとして家蚕ゲノムに大量のコピーが存在するレトロトランスポゾン(BMC1とBm1)の性染色体上における分散状況を検討した。その結果、いずれのレトロトランスポゾンもW染色体上に数〜数十コピーしか含まれないこと、Z染色体における分散とは必ずしも相同ではないことが明らかになった。また、BMC1は3つの常染色体に特に集中して存在しており、このうち一つはその長さと形状から最長かもしくは2番目に長いknobed-chromosome(Traut,1976)である可能性が高いと考えられた。他方はNOR(nuclear organizer)でありこの2染色体が完全に識別された。
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