2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12760044
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
川東 正幸 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (60297794)
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Keywords | 土壌溶液 / 有機成分 / DOC / 季節変動 / ヘキソース / ペントース / フェノール酸 / 無機イオン |
Research Abstract |
土壌溶液中の有機成分が土壌有機物中に占める割合は極めて少なく、その濃度も極めて低い。しかしながら、同成分は土壌中のアクティブかつダイナミックな部分であり、土壌生態系における物質循環を代表していると考えられる。本研究では異なる土地利用条件下の土壌から土壌溶液を定期的に採取し、各種有機成分濃度を定量し、それらの時期的変動を検討した。 調査地は林地2点、草地2点、畑地1点の計5地点で、土壌を0,20,40cmの深さから100mL容コアサンプラーを用いて不撹乱採取し、遠心分離法によりpF4.2条件下の土壌溶液を得た。土壌溶液はpHを測定した後50mLに定容し、各種分析に供した。全有機態炭素量(DOC)は乾式燃焼法で測定した。溶液中有機成分としてヘキソース、ペントース、フェノール酸、アミノ酸、ウロン酸を比色法でそれぞれ定量した。 表層のDOCは採水量と負の相関関係を示したが、下層では同様の関係は認められなかった。ヘキソース濃度は季節変動が明瞭ではなかったが、秋季から冬季にかけて上昇する傾向が認められた。この上昇傾向は微生物遺体の分解に由来すると考えられた。ペントース濃度は、林地と草地では秋季と春季に高い値を示し、リターの供給を反映していると考えられた。一方、畑地では作物残さが供給される冬季と耕起を行った春季に高い値を示した。フェノール酸濃度は林地と草地では夏季と春季に高い値を示したが、畑地では春季にわずかな濃度上昇が認められるのみであった。アミノ酸とウロン酸は測定値の変動幅が大きく深さや採取時期に応じた変動は認められなかった。以上のように、ペントースとフェノール酸は植生の周年変化に応じて変動し、ヘキソースは微生物活性に応じて変動すると考えられた。従って、これら3つの有機成分の季節変動は土地利用条件およびその周辺環境の変動を明瞭に示すと考えられた。
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