2000 Fiscal Year Annual Research Report
神経栄養因子様の活性を有する新規蛋白質p15の作用機序の解析
Project/Area Number |
12760048
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
有岡 学 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (20242159)
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Keywords | 神経突起伸長 / L型カルシウムチャネル / 分泌型ホスホリパーゼA_2 / アラキドン酸 / PC12 |
Research Abstract |
p15 cDNA配列を発現ベクターpRSETBの6×His-tagの下流につなぎ、融合蛋白質として大腸菌で発現させ、Ni^<2+>-カラムにより精製した。このタグ付きのp15(His_6-p15)の突起伸長誘導作用をPC12細胞で解析したところ、生産菌より精製したp15(native p15)とほぼ同等の活性を有していた。また、native p15と同様にHis_6-p15はL型カルシウムチャネルブロッカー、ニカルジピンによってその突起伸長活性を阻害された。p15のシステイン残基に点変異を導入し、2組のうちどちらか一方のジスルフィド結合を失ったHis_6-p15では活性の著しい低下が認められた。また、N末端、C末端の7〜37アミノ酸を欠失させたHis_6-p15を大腸菌で発現させたが、すべての欠失変異体が突起伸長活性を失ったことから、活性部位の特定には至らなかった。 ホモロジー検索の結果、p15が分泌型ホスホリパーゼA_2(sPLA_2)と相同性を有することが明らかとなった。そこで人工基質を用いたアッセイを行ったところ、p15が確かにsPLA_2活性をもつことがわかった。上記の変異体His_6-p15についても同様のアッセイを行ったところ、突起伸長の低下とほぼ相関してsPLA_2活性の低下が認められた。またsPLA_2の活性中心と予想される残基(His57,Asp58)に変異を導入したHis_6-p15HDAAはsPLA_2活性、突起伸長活性ともに失っていた。続いて、p15が培養細胞に対してもsPLA_2活性を示すかどうかを検討した。その結果、His_6-p15により[^3H]-アラキドン酸、[^3H]-オレイン酸の遊離が亢進されることが確認された。さらに上記のp15変異体についても培養細胞からの脂肪酸遊離を測定したところ、人工基質を用いたアッセイの場合よりも高い突起伸長活性との相関が認められた。
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