2001 Fiscal Year Annual Research Report
オリゴ糖鎖ライブラリーによる細胞表層のグライコフォームデザイン
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12760051
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
村田 健臣 静岡大学, 農学部, 助手 (30273171)
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Keywords | enzymatic synthesis / sulfated oligosaccharides / β-D-galactosidase / Le^x / fucosyltransferase / fucosyloligosaccharide / serum / transglycosylation |
Research Abstract |
硫酸化オリゴ糖は,細胞表面の糖タンパク質や糖脂質糖鎖に発現し,細胞接着や炎症反応に関与している.そこで,酵素法による硫酸化オリゴ糖の合成法の開発を試みた.Bacillus circulans β-D-ガラクトシダーゼの6-スルホガラクトシル化反応による特異な硫酸化二糖合成法を開発した.本酵素は,4-メチルウンベリフェリル6-スルホ β-D-ガラクトピラノシドを供与体基質とし,6-スルホガラクトシル基をGlcNAcに転移する反応を触媒した.その結果,HPAEC-PAD分析によりS6Galβ1-4GlcNAcとその構造異性体であるS6Galβ1-6GlcNAcが供与体基質あたり総収率は49%,モル比は1:3.5で生成することが明らかとなった.グルコースを受容体とした場合,その位置選択性は著しく変化し,S6Galβ1-2Glcが主に生成すると共にβ-(1-1)α,β-(1-3),β-(1-6)異性体が生成し,総収率は74%であった.Glcα-OMeを受容体として用いると,本酵素は41%の総収率で主にS6Galβ1-2Glcα-OMeがそのβ-(1-6)構造異性体とともに生成した.両反応ともに,β-(1-2)結合2糖の生成が優先的に起こった.対照的に,Glcβ-OMeを受容体に用いるとβ-(1-3),β-(1-6)二糖が生成し12%の低収率であった.これらの結果から,β-D-ガラクトシダーゼが触媒するS6Gal転移反応は,受容体基質のアノマー水酸基の立体配置に大きく依存することが示唆された. フコースを含むオリゴ糖鎖は,血液型抗原やガン糖鎖抗原として見出され,また受精卵の発生過程にも関与していることが明かとなっている.そこで,Le^x[Galβ1-4(Fucα1-3)GlcNAc]の効率的な酵素合成を行うために,各種動物血清中のフコシルトランスフェラーゼ活性のスクリーニングを試みた.その結果,ニワトリ血清中に高いフコシルトランスフェラーゼ活性を見出した.しかしながら高いフコシダーゼ活性を含んでいたので,DEAEセファロースによる部分精製を行ったところワンステップでフコシダーゼを除去することができた.また,反応液中にウシ血清アルブミンや界面活性剤を添加することにより効率よくフコシル化反応を行うことが可能であった.この様にして得られた知見を基に,Le^x構造を有するオリゴ3〜5糖[Galβ1-4(Fucα1-3)GlcNAc, Galβ1-4(Fucα1-3)GlcNAcβ-pNPおよびGalβ1-4(Fucα1-3)GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcの効率的な合成を行うことができた.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Totani, K.: "Enzymatic synthesis of oligosaccharide comtaining Le^x unit using partially purified chicken serum"Biosci., Biotechnol., Biochem.. 66. 636-640 (2002)
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[Publications] Murata T.: "Enzymatic synthesis of sulfated disaccharides utilizing β-D-galactosidase-catalyzed transglycosylation"Biosci., Biotechnol., Biochem.. 65. 2456-2464 (2001)
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[Publications] Kawagishi, H.: "Purification and characterization of a lectin from the mushroom Mycoleptodonoides aitchisonii"Phytochemistry. 48. 53-58 (2001)
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[Publications] Kawagishi, H.: "A lectin from the shoots of Bamboo Phyllostachys pubescens"J. Appl. Glycosci.. 48. 99-103 (2001)
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[Publications] 村田健臣: "オリゴ糖酸化酵素を利用した生乳中ラクトースの定量"日本農芸化学会誌. 75. 447-449 (2001)
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[Publications] 村田健臣: "機能性オリゴ糖鎖の構築"日本農芸化学会誌. 75. 576-579 (2001)
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[Publications] 碓氷泰市: "季刊化学総説,糖鎖分子の設計と生理機能"エキソグリコシダーゼを中心としたオリゴ糖鎖の実践的合成. 17-23 (2001)