2000 Fiscal Year Annual Research Report
カロチノイド合成関与遺伝子を用いた光合成細菌の分類体系の再編
Project/Area Number |
12760056
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 浩子 大阪大学, 生物工学国際交流センター, 助手 (30251482)
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Keywords | 光合成細菌 / FPP synthase / Phylogeny |
Research Abstract |
紅色非硫黄光合成細菌であるRhodobacter capsulatusとRba.sphaeroidesが有するFPP合成酵素遺伝子をクローニングした。さらに、これら2種以外のαプロテオバクテリアのFPP合成酵素を特異的に増幅するプラーマーを設計し、その他光合成細菌と分子系統学的にその類縁性が示唆されているAgrobacterium feruginumと大豆マメ科根粒菌についてFPP合成酵素遺伝子のPCR増幅を行い、それらの塩基配列を決定した。得られた塩基配列に加え、遺伝子バンクに登録されている塩基配列およびアミノ酸配列との比較、ならびに分子系統解析を行った。その結果、ほぼ16S rDNAに基づく系統関係と一致したが、一部異なっていた。αプロテオバクテリアにおいて、光合成細菌のFPP合成酵素は、非光合成細菌のそれとは異なる分子系統をなしていることを明らかにした。特に、Rhodopseudomonas palustrisのFPP合成酵素遺伝子は、根粒形成菌であるBradyrhizobiumと全く系統が異なり、根粒形成菌においてfirst-growing typeとslow growing typeのFPP合成酵素は起源が同じである可能性が示唆された。これは、根粒形成菌の根粒形成能が水平移動によってもたらされた可能性とあわせて、FPP合成酵素の水平移動の可能性も示唆された。しかし、FPP合成酵素は細菌にとって必須遺伝子の一つであり、それが水平移動するということについてそのメカニズムはさらに興味深い。近年分類学において、細菌の分類は、16S rRNA(DNA)による分子系統解析の結果に大きく依存しているが、16S rDNAは全DNAの一部にすぎない。FPP合成酵素やその他遺伝子の分子系統解析を比較検討することにより、系統関係や細菌の進化を明らかにし、それを分類体系に反映されるべきであるという結論を得た。
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