2000 Fiscal Year Annual Research Report
納豆菌ポリ-γ-グルタミン酸合成酵素の構造と反応機構
Project/Area Number |
12760062
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
芦内 誠 高知大学, 農学部, 助教授 (20271091)
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Keywords | ポリ-γ-グルタミン酸 / 納豆菌 / 膜結合性酵素複合体 / アミドリガーゼ / D-グルタミン酸 / 生分解性ポリマー / 高吸水性ポリマー / リボソーム非依存性ポリペプチド合成機構 |
Research Abstract |
本年度は、ポリ-γ-グルタミン酸(PGA)合成酵素複合体PgsBCAの酵素科学的性質を調べ、いくつかの興味深い知見を得るに至った。 1、本酵素複合体をコードする遺伝子pgsBCAを大腸菌で発現させ、その局在を調べた。その結果、膜結合性酵素複合体であることが判明した。納豆菌でも膜に局在している可能性を示す結果を得ており、本酵素複合体は膜に移行するための装置を本質的に備えていることが示唆された。 2、本酵素反応時に生産されてくる核酸種を各種酵素共役法を用いて解析し、これがADPであることを明らかにした。これにより、PGA合成反応はアミドリガーゼ反応の一種であることがはじめて示された。また、これまで同定されているアミドリガーゼは全て膜非局在であることから、本研究は膜結合性アミドリガーゼを同定した最初の例としての位置付けにある。 3、in virto翻訳/転写システムを用いて本酵素複合体を形成する成分PgsB,PgsC及びPgsAを試験管内合成した。各々の成分について反応速度論解析を適用した。その結果、本酵素複合体の活性中心はPgsBとPgsCによるコンポジット構造である可能性が示された。既知のアミドリガーゼの活性中心にはこのような構造をしているものはなく、これが最初の発見である。また、PgsAはPGAのトランスポータとして機能している可能性が高く、また、PgsA欠失実験から本成分はPGAの伸長(長大化)に極めて重要な役割を果たしていることが判明した。 以上の成果はいずれも世界に先駆けて明らかにしたものである。本研究成果をまとめたものを英文誌に投稿中である。
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