2000 Fiscal Year Annual Research Report
配偶子形成における紡鍾極体(SPB)の役割とその制御タンパクSpo15の解析
Project/Area Number |
12760064
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中村 太郎 大阪市立大学, 理学部, 助手 (30291082)
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Keywords | 分裂酵母 / 胞子形成 / スピンドル極体 |
Research Abstract |
前胞子膜マーカーの構築 分裂酵母では前胞子膜はこれまで、電子顕微鏡下でのみ観察が可能であったが、spo遺伝子の解析の中で、前胞子膜に局在するタンパク質を2つ(Spo3,Psy1)同定し、GFPと融合タンパク質の形で、光学顕微鏡下で観察する系を構築した(Nakamura et al投稿中)。これにより、様々な胞子形成欠損変異株の前胞子膜を容易に、統計的に観察することが可能となった。 spo15変異株における前胞子膜形成 先に述べた系を用いて、spo15変異株での前胞子膜を観察した。野生株では第二減数分裂中期にSPB付近から前胞子膜の形成が起こり、その後、減数分裂中の核を包みこむように伸長するが、spo15変異株では前胞子膜マーカーのシグナルは細胞全体に広がり、膜形成はほとんど観察されなかった。このことから、Spo15は前胞子膜形成の非常に初期の段階に欠損がみられることが明らかになり、Spo15が胞子形成時のSPBの構造変換に必須というデータをさらに支持した。 Spo15と相互作用する遺伝子の解析 Spo15はコイルドコイル領域を持つタンパク質なので、ほかのタンパク質と相互作用をしながら、機能すると考えられる。これまでクローニングしたspo遺伝子のうち、Spo15の相互作用する可能性のあるものとして、spo13+に着目した。Spo13は約150のアミノ酸からなるコイルドコイル領域を持つタンパク質であった。spo13破壊株は生育可能で胞子形成欠損を示した。spo13+mRNAは栄養増殖ではほとんど発現はみられないが、胞子形成時に劇的な誘導がみられた。Spo13-GFPを作製して、細胞内の局在を観察したところ胞子形成特異的にSPBに局在がみられた。spo15破壊株ではSpo13のSPBの局在がみられなかったことから、Spo13とSpo15は相互作用して、胞子形成時のSPBの構造変換に重要な働きをしている可能性が示唆された。
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