2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12760069
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
上田 賢志 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (00277401)
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Keywords | 放線菌 / 炭素源 / 形態分化 / 二次代謝 / Streptomyces griseus / Streptomyces coelicolor / 転写因子 / 蛋白精製 |
Research Abstract |
craAはStreptomyces griseusの炭素源依存的な形態分化の開始に抑制的に作用すると予想される遺伝子である。craA遺伝子の役割を明らかにするために、相同組み替えによりカナマイシン耐性遺伝子がその遺伝子挿入された破壊株をその薬剤を指標に選択した結果、1株の破壊株の取得に成功した。その破壊株は4%のグルコースを含む培地においてわずかに分化が促進される形質を示したが、craAのプロモーター領域を高コピーを用いて増加させることによって起こる炭素源依存的な分化の抑制は依然として観察された。従って、CraRの制御下にはcraA以外に複数の抑制因子が存在することが予想される。一方、craR遺伝子の取得を目的として、CraRをゲルシフト法を用いて、Polymin P分画、硫安沈殿、DEAE、Heparin-sepharose、Q sepharose、Heparin、Superdex200のクロマトグラフィーで精製した。得られた標品中にRNAポリメラーゼのホロ酵素(αββ',及び主要シグマ因子HrdB)が存在していたことから、目的の蛋白はそれらと相互作用することが示唆された。ゲル濾過による活性蛋白の推定分子量が440KDa以上の値を示したことはこのことを支持した。 S.griseusの染色体上に4つないし5つの読み取り枠からなる新規制御系を同定し、そのうち膜蛋白をコードする遺伝子および真核生物に普遍的なRasタイプのGTP結合蛋白をコードする遺伝子の破壊株の形質から、このオペロンが菌の形態分化および抗生物質生産のグルコース抑制に関与することを明らかにした。また、その際にcAMP合成の調節が関与することも示唆された。膜に結合、会合しGTP結合蛋白の活性を介した何らかの信号伝達を担うと予想されるこのオペロンは、ゲノムシークエンスがほぼ完了したS.coelicolorA3(2)株の染色体上に11組存在する普遍的なものであることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)