2000 Fiscal Year Annual Research Report
新規チロシンキナーゼ阻害物質ヒバリマイシンの生合成と構造活性相関
Project/Area Number |
12760079
|
Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
五十嵐 康弘 富山県立大学, 工学部, 助教授 (20285159)
|
Keywords | hibarimicin / biosynthesis / tyrosine kinase inhibitor / isotope labelling |
Research Abstract |
(1)標識酢酸の取り込み実験によるヒバリマイシン基本骨格の生合成経路の解析 ヒバリマイシン(HBM)の生合成については、11個の酢酸単位がpolyketide経路で炭素鎖伸長された後、脱炭酸を経て炭素数21の芳香族polyketideがつくられ、これが二量体化して炭素数42の基本骨格となることが予想されていた。今回、HBM生産菌に1,2-^<13>C_2酢酸ナトリウムを添加培養し、標識HBMを得た。2D-INADEQUATEスペクトルの解析により、単量体に関して9個の酢酸単位の取り込みを同定できたが、脱炭酸で残った酢酸2位由来の炭素以外に、3結合離れた2個の炭素がINADEQUATE相関を示さなかった。この2個の炭素が1つの酢酸に由来していることを確かめるために、^3J_<c,c>カップリングを測定した結果、4Hzのカップリングが認められ、酢酸単位で取り込まれたことが証明された。すなわちHBMのアグリコン生合成では、酢酸単位で炭素鎖が伸長された後、骨格の転移が起こっていることが明らかになった。 (2)生合成閉鎖株の取得と生合成中間体の単離 HBM生産菌親株のNTGによる変異処理を行った。HBM固有の赤色色素とは色調が異なるコロニーあるいは無色のコロニーを選択し、生合成閉鎖株960株を分離した。次にこれらを液体培養して得られた酢酸エチル抽出物をTLC分析し、肉眼観察とUV発色により、生合成中間体もしくはシャント代謝物の生産を確認した。その結果、最終的に生合成が閉鎖された4つの安定株を得ることができた。このうちのひとつAN-0416株は、HBM基本骨格を有する黄色の配糖体HBM Yを生産することがNMR解析により明らかになり、生合成の中間体と考えられ、今後、確認の実験を行う予定である。残り3株の生産物については、構造解析中である。
|