2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヘム鉄存在下の酸化ストレスによる腸管バリアー能低下とそのポリフェノールによる抑制
Project/Area Number |
12760084
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
橋本 啓 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (10237935)
|
Keywords | Caco-2 / 過酸化脂質 / ヘム鉄 / ケルセチン / 経上皮電気低抗 |
Research Abstract |
(1)ヒト大腸ガン由来培養細胞株Caco-2を透過性膜上に単層培養し、3〜5週間培養した後、細胞間経路による物質透過性を経上皮電気抵抗(TEER)を測定することにより評価した。 (2)有機過酸化物としてのt-ブチルヒドロぺルオキシド(TBHP)および、ヘム鉄としてのミオグロビンによりCaco-2細胞層を処理したときの物質透過性の変化を(1)により調べた。ミオグロビン存在下1mMのTBHPで細胞層を処理すると、経時的に物質透過性が上昇し、2時間後にはTEERは処理前に約2割にまで低下した。また、TBHPの処理濃度を500μMとすると、TEERは約8割にまで低下するにとどまった。一方、TBHP濃度を5、10mMと高くしても、そのTEER低下活性の強さや経時変化に違いは認められなかった。 (3)次に同様の処理をマイクロプレート上に3〜5週間培養したCaco-2細胞層を用い、その生細胞数をアラマブルーアッセイにより評価した。その結果、(2)とほぼ同様な結果が得られ、ミオグロビン存在下、4mMのTBHPで処理することにより、生細胞数が1〜2割程度に減少することが示された。そこで、以下の実験は(3)のアッセイ系を用いて進めた。 (4)脂質過酸化ラジカルによる腸管細胞の障害に食品由来ポリフェノールが及ぼす影響を検討した。細胞層を、カテキン、ケルセチンまたはケルセチン-4,-グルコシドによりあらかじめ処理した後に、脂質過酸化ラジカル処理をした。その結果、カテキンやケルセチンには細胞障害抑制が認められなかったが、ケルセチン-4,-グルコシド前処理により顕著な細胞障害抑制活性が認められた。 (5)活性酸素種として過酸化水素を用いた実験は本年度内に完了することは出来なかった。
|