2000 Fiscal Year Annual Research Report
食品の品質制御を目的とした食品多成分系のガラス-ラバー転移挙動の解析
Project/Area Number |
12760086
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
萩原 知明 東京水産大学, 水産学部, 助手 (20293095)
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Keywords | ガラス転移 / 食品 / DSC |
Research Abstract |
1.最初に予備実験としてガラス転移温度測定で頻用する示差走査熱量測定(DSC)および動的粘弾性装置(DMA)の実験条件等の確認を行った。DSC測定で試料を封入するセルは、超低温から、200℃程度までの幅広い温度領域で、安定して試料を封入できるだけの仕様が要求される。そのためにはアルミニウム耐圧セルを用いることが必要であることが分かった。また、DMA測定では、試料をフィルム状に成型することが必要であるが、その調製条件等について検討を行い、十分な強度と大きさを有するフィルムの作成方法を確立した。 2.低分子同士の混合系については、種々の単糖類などを試料に用いて実験を行なってきた。しかしながら現段階では、実験データの再現性、正確性が十分に確認されていないため、明確な結論が得られていない。今後、試料の調製法、測定データの解析法について検討を行う必要があると考えられた。 3.高分子-低分子系のガラス転移に関しては、高分子の一例としてゼラチンを用いた実験を行った。ゼラチンの溶液を乾燥して得られた試料のDSC測定によるガラス転移挙動の解析に加えて、広角X線回折により、乾燥試料中の結晶構造(ヘリックス構造)の解析も実施した。その結果、ゼラチンのガラス転移温度、熱容量変化は、ゼラチン中の結晶領域の量と密接な関係があることが分かった。金属塩、糖などをゼラチンに添加した場合、これらの添加物がゼラチン分子と相互作用し、ゼラチンの結晶領域形成に影響を及ぼし、ガラス転移挙動に影響を及ぼすことが考えられた。現在、添加物の影響について詳細な検討を行っている。
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