2001 Fiscal Year Annual Research Report
熱変性リゾチームの抗体産生促進活性増強メカニズム解明に関する研究
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12760090
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
菅原 卓也 愛媛大学, 農学部, 助手 (00263963)
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Keywords | リゾチーム / ハイプリドーマ / 抗体産生促進因子 / 無血清培養 / モノクローナル抗体 / 機能性食品 |
Research Abstract |
これまでの研究で、ニワトリ卵白由来のリゾチームがヒト型ハイブリドーマや末梢血リンパ球の抗体生産性を促進することを示してきた。また、リゾチームを尿素存在下で熱変性すると、抗体産生促進活性が高まるこが明らかとなった。そこで、様々な条件下で熱処理したリゾチームの抗体産生促進活性の変化を検討した。 リゾチームは、分子内に4カ所のジスルフィド結合を有していることから、熱処理における2-メルカプトェタノール(2-ME)の効果を検討した。その結果、2-MEの単独での作用では、熱処理の有無にかかわらず、リゾチームのIPSF活性は消失した。しかし、0.5mMの2-MEと4M尿素との共存下におけるリゾチームの83℃、10分間の熱処理では、そのIPSF活性は飛躍的に上昇し、リゾチーム無添加の場合に対して、ハイブリドーマHB4C5細胞の抗体産生量は77.8倍にまで促進された。また、4M尿素単独存在下での熱処理と比較しても、そのIPSF活性は8.6倍促進された。 熱変性リゾチームは、未変性リゾチームと比較してハイブリドーマ細胞内への取り込み量が増大していた。この要因を考察するために、1アニリノナフタレン8スルホン酸を蛍光プローブとして、リゾチーム分子表面の疎水性を比較した。種々の条件での熱変性によるリゾチームの疎水性の変化を解析した結果、リゾチームの疎水性は熱変性の度合いにしたがって増大しており、それはリゾチームのIPSF活性の増大と相関していた。このことから熱変性リゾチームの作用機構を考察すると、リゾチーム分子の塩基性に起因する正荷電による細胞膜表面(負荷電)への静電気的結合がおこり、熱変性で増大した疎水性により細胞膜の脂質二重膜構造を通過しやすくなったことで細胞内への取り込み量が増大したものと考えられ、これにより未変性リゾチームに対して、抗体産生促進効果が増大したのではないかと推察される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Okamoto et al.: "Alcohol dehydrogenase-I from horse liver serves as an immunoglobulin production stimulating factor"Enzyme and Microbial Technology. 29. 136-143 (2001)
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[Publications] T.Sugahara et al.: "The Cytotoxic effect of Eucheuma serra agglutinin (ESA) on cancer cells and its application to molecular probe for drug delivery system using lipid vesicles"Cytotechnology. 36. 93-99 (2001)
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[Publications] T.Sugahara: "Effect of polyamines on proliferation and IgM productivity of human-human hybridoma cell line"Memories of the College of Agriculture, Ehime University. 46. 27-33 (2001)
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[Publications] 山田耕路(編): "生物機能研究の進歩I"(株)アイピーシー. (2002)