2000 Fiscal Year Annual Research Report
カプシノイドのアドレナリン分泌活性による体熱産生効果の評価と、酵素的合成法の確立
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12760095
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
古旗 賢二 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助手 (70275105)
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Keywords | カプシノイド / 体熱産生 / エネルギー代謝亢進 / アドレナリン分泌 / カプシエイト / 酵素的合成 / リパーゼ |
Research Abstract |
トウガラシの新規無辛味成分カプシノイドの体熱産生作用の有無を明らかにするために、カプシノイドを投与した麻酔下ラット副腎からのアドレナリン分泌作用を調べた。また、カプシノイドの安定供給法として、酵素を用いた合成法の確立を目指した。 1.カプシエイトのアドレナリン分泌活性 天然型カプシノイドの主成分であるカプシエイトでは、用量依存的に、また、投与直後にアドレナリン分泌が促進され、最大分泌量はカプシエイト0.5mg/kg投与で、36ng/kg/minであった。さらに、バニロイドレセプター拮抗阻害剤のカプサゼピンを前投与したところ、上記の作用が抑制されたことから、カプシエイトの効果はバニロイドレセプターを介したものであることが明らかとなった。 2.カプシノイドの酵素的合成法 バニリルアルコールと脂肪酸類を基質とし、有機溶媒中でリパーゼ触媒によるエステル化を行った。反応の最適化を図るべく、反応諸条件を検討した。17種類の市販リパーゼのうち最も高活性であったのはNovozym435(Candida antarctica由来)であった。本反応は数種の一般的な有機溶媒中で高活性を示し、反応温度も25〜70℃の範囲で同等の収率が得られた。反応液中への水添加は収率を低下させた。一方、モレキュラーシーブの添加は反応収率を顕著に増大させ、基質比が1:1の条件下で収率86%(反応20時間)をもたらした。基質脂肪酸の構造の効果は、遊離体<単純エステル体<トリグリセリドの順で高くなり、鎖長の影響はC6〜C18の範囲では見られなかった。得られた最適条件のスケールアップを行い、天然型カプシノイドを単離収率60%で得ることができた。 カプシノイドの酵素的合成法を確立し、種々の類縁体が容易に合成できるようになった。今後、これら類縁体のアドレナリン分泌活性を調べる予定である。また、カプシノイドを経口摂取した後の、吸収・代謝といった体内動態を調べる予定である。
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