2001 Fiscal Year Annual Research Report
カプシノイドのアドレナリン分泌活性による体熱産生効果の評価と、酵素的合成法の確立
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12760095
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
古旗 賢二 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助手 (70275105)
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Keywords | カプシノイド / 体熱産生 / アドレナリン分泌 / 酵素合成 / リバーゼ / 体内動態 / バニリルアルコール / バニリン酸 |
Research Abstract |
リパーゼを触媒とした酵素法による、脂肪酸鎖長の異なるカプシノイドホモログや天然型カプシノイドの大量合成を目指した。また、これら合成物についてエネルギー代謝亢進の指標であるアドレナリン分泌亢進活性を調べた。さらに、カプシノイドの体内動態を調べた。 1.酵素合成 前年度で求めたカプシノイド合成の最適条件において、基質として種々の鎖長の脂肪酸を用いて、カプシノイドホモログを0.5g〜1.0gのスケールで合成した。C6、8、9、10、12、14、18の脂肪酸鎖長を持つカプシノイドをそれぞれ52、70、49、54、52、31、77%の単離収率で得ることができた。 2.アドレナリン分泌活性 上記で得られたカプシノイドホモログについて、麻酔下ラット大腿静脈から注入し、副腎静脈血中のアドレナリン分泌量を測定した。その結果、C9ホモログが投与直後に27ng/kg/minの有意なアドレナリン分泌亢進作用を示し、C10ホモログも13ng/kg/minの有意な効果を示した。C12ホモログは10ng/kg/minと亢進する傾向を示したが、その他のホモログは顕著な効果は示さなかった。C9ホモログは天然型カプシノイドであるカプシエイトと脂肪酸鎖長がほぼ同じである。また、活性も同等であった。以上のことから、活性の発現にはカプシノイドの脂肪酸部分の炭素鎖長が深く関与しており、約C9に近いものほど強い活性を有することが明らかとなった。 3.体内動態ラ ットの胃内に、カプシエイトを強制投与し、一定時間後に消化管内、血中、糞尿中のカプシエイトおよび予想される代謝物の測定を行った。投与後1時間ですでに80%以上のカプシエイトは消化管上部から吸収されていたが、血中では検出されなかづた。24時間尿中では、カプシェイトの代謝物と考えられるバニリルアルコールとバニリン酸が抱合体して検出された。以上より、カプシノイドは摂食後速やかに吸収・代謝され、尿中に排泄されることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kouzou Sutoh et al.: "Stability of capsinoid in various solvents"Journal of Agricultural and Food Chemistry. 49(8). 4026-4030 (2001)
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[Publications] Tatsuo Watanabe et al.: "Capsaicin-, resiniferatoxin-, and olvanil-induced adrenaline secretions in rats via the vanilloid receptor"Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry. 65(11). 2443-2447 (2001)
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[Publications] Kenji Kobata el al.: "Enzymatic synthesis of a capsinoid by the acylation of vanillyl alcohol with fatt acid derivatives catalyzed by lipases"Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry. 66(2). 319-327 (2002)