2000 Fiscal Year Annual Research Report
中山間地域におけるエコマネー導入の可能性と森林循環型経済システムの構築
Project/Area Number |
12760099
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 美穂 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (10312399)
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Keywords | LETS / 地域通貨 / 地域拡興 / コミュニティ再構築 / 社会関係 |
Research Abstract |
本年度は、地域通貨の普及範囲と理論的整理を行うことを課題とした。 地域通貨は、金融・取引のグローバル化に対抗する手段として、従来の市場の欠陥を補充する社会関係の構築を目指すものである。その目的は、主に、環境、地域振興、福祉、能力開発と交流の4つに分けられ、取引手段によって主に、紙幣の発行、通帳の交換、小切手の供与の3つに分けられる。これら目的と取引手段の違い、さらに構成員とそれが成立する地域の社会構造によって様々な展開を示す。現在最も代表的な地域通貨であるLETS(Local Trading Exchange Scheme)では、発足から18年近い歩みを持ち、英国国内では500近くのLETSが普及している。 日本でも1998年頃から、地域振興に取り組む行政関係者や、主婦、退職者、学生、といった比較的自由な時間を持つ人々による地域通貨への取り組みが顕著になった。不況による地域経済の不振、環境問題の閉塞感、福祉における政策変化を受けるように、そのスキームは雨後の筍のように全国に広がりつつある。 調査・研究の場面では、貨幣論や社会学の視点における理論的研究はかなり深められ、社会デザインは完成しつつある。しかし、地域通貨が現実の地域の上でいかに運用されていくかは、地域の持つ社会的・地理的条件に大きく規定される。地域通貨だけに注目するならば、取引システム、参加者の構成、取引されるもの、等が主要な考察対象となるが、それがどのような地域の上で働くかという視点からは、地域住民の構成、産業構造、地帯区分などの地域構造への注目が必要となる。例えば、中心商店街の活性化や農村域のコミュニティ再構築などは、地理情報を視野に入れた分析によってはじめてその成果が明らかとなる。
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