2000 Fiscal Year Annual Research Report
自然環境下における落葉広葉樹の光合成能力と光合成に関連する遺伝子の発現調節
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12760100
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
斎藤 秀之 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (70312395)
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Keywords | 光合成特性 / 遺伝子発現 / 自然環境下 / ブナ |
Research Abstract |
(1)黒松内ブナ二次林の樹冠における光合成特性の季節変化 5月上旬に開葉した葉の最大光合成速度は急激に上昇して7月上旬に最大に達した。このときの陽樹冠と陰樹冠の最大光合成速度は10.4±0.5と6.4±0.6μmol m^<-2>s^<-1>であった。その後、10月下旬から11月上旬の落葉まで最大光合成速度は徐々に低下した。最大光合成速度が最大値のほぼ半分まで低下する時期は陽樹冠で10月下旬、陰樹冠で10月上旬であった。 黒松内ブナ林の開葉と落葉時期は苗場山の海抜700mおよび富士山の海抜1100mとほぼ同じであった。最大光合成速度の季節変化が最大に達する時期は、黒松内と富士山でほぼ一致した。黒松内ブナの陽樹冠の光合成速度は苗場山550mや富士山と比べてほぼ同等であった。また苗場山1500mと比べて低かった。個葉の老化にともなう最大光合成速度の低下は、黒松内ブナ林の陽樹冠が富士山ブナ林の陽樹冠に比べ遅く、黒松内ブナの成長速度が速い原因の一つである可能性が示された。 (2)アブラムシがブナの葉の光合成能力とRuBisCO含有量に与える影響 ブナの葉の外的ストレス要因としてアブラムシの吸汁に注目し、光合成能力とRuBisCO含有量の挙動について調べた。アブラムシの吸汁の影響は外見的に萎縮と黄化の二種類に大別することができた。いずれも光合成能力が低下していることが確認できた。光合成能力の低下の内的原因をBio-chemical modelに則り気孔コンダクタンスと葉肉コンダクタンスに分けて検討した所、光合成低下の原因の9割が葉肉コンダクタンスによるものであることがわかった。葉肉コンダクタンスを支配する要因としてRuBisCOにおける炭酸固定反応が挙げられる。そこで現在、RuBisCO含有量の変化をSDS-PAGEとウエスタンブロット解析法により解析中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 斎藤秀之: "黒松内ブナ二次林の樹冠における光合成特性の季節変化"日本林学会大会学術講演集. (印刷中).
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[Publications] 山室晃司,斎藤秀之,高橋邦秀,渋谷正人,尾崎研一: "アブラムシの吸汁を受けたブナの葉の光合成特性とRuBisCO・クロロフィル量"日本林学会大会学術講演集. (印刷中).