2000 Fiscal Year Annual Research Report
森林の多様性を重視した森林細分型人工林資源管理システム
Project/Area Number |
12760104
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷川 尚史 京都大学, 農学研究科, 助手 (70263134)
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Keywords | 生物多様性 / 資源配置 / 生産サイト / GPS / GIS |
Research Abstract |
近年,我が国の森林を取り巻く経済的環境は,国産材価格の低迷や人件費の高騰などにより,ますます悪化している.一方,国民の環境問題への関心の高まりから,森林の公益的機能に対する要望が非常に強くなっている.これらに対応し,公益機能重視の森林管理を行いながら,森林経営を経済的に成立させるためには,従来の植栽時の管理単位である「小班」を基にした森林資源管理ではなく,より森林構造の多様性,多機能性に対応した森林管理手法の開発が必要である.本研究では,各種の木材生産性(地位,斜面傾斜,材質,路網到達距離など)の指標を重ね合わせることによって生成される小区分を「生産サイト」と定義し,これを単位にした森林細分型人工林資源管理の構築を試みた.平成12年度は,森林におけるGPSの受信可能性についての検討と測位データのGISへの入力方法についての検討を行った.まず,様々な林分環境下においてGPS受信試験を行い,個々の衛星のGPS信号が植生によって劣化する状況について評価を行った。また,樹冠下において干渉測位法による1〜240分の静止測量(1Hz)を行い,全天写真から評価した測位地点の開空度と観測時間から,アンビギュイティが解決され精度の高いFix解が得られる確率,および測位精度を求めるモデルを構築した.また同時に,森林における二周波受信機の有用性を明らかにした.一方,受信データのGISへの入力方法としては,GISを搭載したPDAを用いる方法がもっとも作業効率が高く,レーザー測距計を組み合わせて用いることによって,立木位置図および直径や樹高などの立木の属性データを同時に入力することが可能であった.以上の結果に基づき,平成13年度には,これらのモデルをより現実的なシステムに近づけるとともに,実際の森林における生産サイト生成に活用し,GISを用いた生産サイト管理手法を検討する予定である.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 長谷川尚史,吉村哲彦,内山雅之,藤田義人: "樹冠下における二周波型受信機を用いたGPS測量に関する検討"第7回森林利用学会研究発表会講演集. 51 (2000)
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[Publications] 長谷川尚史,吉村哲彦,中川恒祐: "森林におけるGPS利用の課題と展望"第112回日本林学会大会学術講演集. (印刷中). (2001)