2000 Fiscal Year Annual Research Report
土壌水の不撹乱採取手法の開発による林地不飽和土壌中の溶存物質移動現象の解明
Project/Area Number |
12760105
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小杉 賢一朗 京都大学, 農学研究科, 助手 (30263130)
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Keywords | 鉛直浸透 / 土壌水 / 採水手法 / 水質 / 地下水汚染 / 物質循環 / ライシメータ / 透水係数 |
Research Abstract |
雨水や潅漑水の不飽和鉛直浸透に伴う物質の移動量を定量化する目的で,新たな採水装置の開発を行った.この装置では,吸引瓶に接続されたポーラス板を水平に埋設して吸引採水を行うが,その際,ポーラス板直上のマトリックポテンシャルおよび採水断面に隣接する自然状態の断面の同深度におけるマトリックポテンシャルを3秒おきに計測し,両者が一致するように吸引圧を自動制御している.これによって採水断面では,土層上端の境界条件(水分フラックス=降雨強度や潅漑強度)と下端の境界条件(水理ポテンシャル)が自然断面と等しくなるため,自然状態に等しい不飽和土壌水の移動が維持されることになる. 開発した装置を人工降雨装置を用いた室内実験で試験したところ,採水断面における土壌水分条件が自然断面と等しく維持されること,採水強度の経時変化が自然断面における浸透強度の経時変化にほぼ一致することが示された.これに対して,既存のテンションフリーライシメータもしくはキャピラリーライシメータを用いた採水では,採水断面の土層が自然断面より湿潤な環境となり,採水強度と実際の鉛直浸透強度とは量も波形も異っていた.さらにテンションライシメータを用いて採水を行った場合には,採水断面の水分条件は自然断面とほぼ等しく維持されたが,採水強度は実際の浸透強度よりもかなり小さくなった. 野外における試験結果においても,開発した装置によって水分状態の撹乱を最小限に抑えた採水を行えることが示された.5回の降雨イベントに対応する採水量は,降雨波形や降雨前の土壌水分条件を反映した妥当なものであり,20日間の試験期間中に総降雨量(74mm)の63%にあたる46mmの採水量が得られた.
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Research Products
(1 results)