2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12760140
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
田代 有里 東京水産大学, 水産学部, 助手 (10293094)
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Keywords | 寒天 / 分子量分布 |
Research Abstract |
本研究は、寒天の分子量分布がゲル形成にいかに影響をおよぼしているのかを明らかにするための研究の中に位置する。寒天はその抽出条件が分子量分布に影響を及ぼしていることが分かっているが、抽出条件と分子量分布の関係についてはまだ十分に解明されていない。 平成12年度はスサビノリPorphyra yezoensisを原藻とする干海苔から各種アルカリ処理条件で寒天を抽出し、収率の高かった6条件から得られたものを試料として、寒天の同定を行い、極限粘度数から各試料の平均分子量を推定した。 平成13年度は、抽出した試料の推定平均分子量が10^5程度であり、市販寒天と同等以上の分子量を有するものであると考えられることから、これら6試料全てについて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分子量分布を調べた。GPC測定では95℃に保温した溶離液を流し、装置内オーブンの温度は、最大設定温度(インレット:60℃、カラム:95℃、示差屈折計:45℃)とし、また、外気に触れる器具全てに保温措置を施して、温度低下による系内での寒天のゲル化を回避することにより分子量分布曲線を得ることに成功した。しかし、GPCと連動させる分画操作では、温度低下の困難を避けることが出来なかった。GPCの結果は、本研究のアルカリ処理条件の範囲においては、アルカリ濃度が高くなるにつれて平均分子量が高くなる傾向が認められ、分子量分布を見ると、10^6程度の高分子量画分が増える傾向が認められた。一方、10^3程度の低分子量画分も処理条件に関らず必ず存在していた。このことから、寒天の分子が高温のアルカリ液中に長時間曝されることにより、十分に化学修飾を受けて高いゲル化能を有する高分子量画分を得ることができるけれども、同時に分子の分解が起ってしまうために、平均分子量の割には低分子量画分が多く存在し、これが原因して寒天のゲル形成能が平均分子量に依存しなくなることが明らかとなった。 今後は分画操作を改善し、分子量分布とゲル構造の関係について研究を進めていく。
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