2000 Fiscal Year Annual Research Report
麻痺性貝毒の迅速、簡便、高感度な新しいモニタリング法の開発
Project/Area Number |
12760142
|
Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
川津 健太郎 大阪府立公衆衛生研究所, 食品衛生部食品細菌課, 研究員 (20260367)
|
Keywords | 麻痺性貝毒 / 酵素免疫測定法 / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、麻痺性貝毒(PSP)の高感度なモニタリング法として、酵素免疫測定法(ELISA)を開発することであるが、そのためには、ELISAは抗原抗体反応を利用した分析系であるため、抗PSP抗体が必要となる。 現在、PSPには19種類の誘導体の存在が知られているが、それらはN1-Hトキシン群とN1-OHトキシン群に大別される。そこで、まずN1-Hトキシン群に対するELISA分析系を開発するために、N1-Hトキシン群を幅広く認識できるモノクローナル抗体の作出を試みた。 免疫原は、N1-Hトキシンの1つであるGTX2/3を用いた。しかし、GTX2/3を初めとするPSPは、いわゆるハプテンであるので、単独では免疫原性を持たない。そこで、ホルマリンを使ってGTX2/3をヘモシアニン(KLH)に結合させることにより、GTX2/3に免疫原性を付加した。そして、得られたGTX2/3-KLH複合体を免疫したマウス群の中から、抗GTX2/3抗体産生マウスを選抜し、これの脾臓細胞とマウスミエローマ細胞(P3X63-Ag8-U1)を細胞融合することにより、モノクローナル抗GTX2/3抗体を産生するハイブリドーマ細胞GT-13A株の樹立に成功した。 次いで、このGT-13A株が産生するモノクローナル抗GTX2/3抗体のN1-Hトキシン群に対する反応性を分析した。その結果、本抗体はN1-Hトキシン群(GTX2/3、STX、C1/C2 toxin)に対して幅広い反応性を示した。また、本抗体を用いたELISAを使ってGTX2/3標準品を分析した結果、その分析感度はPSP分析の公定法であるマウス試験法より約500倍優れていた。 以上の結果から、本抗体は、試料中のN1-Hトキシン群を高感度に分析するためのELISAの開発に有用であると考えられた。
|