2000 Fiscal Year Annual Research Report
系統組織再編下における農協共販の系統内競争構造と協調関係に関する研究
Project/Area Number |
12760155
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Research Institution | Minami Kyusyu University |
Principal Investigator |
板橋 衛 南九州大学, 園芸学部, 助教授 (90289645)
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Keywords | 農業協同組合 / 農協共販 / 系統再編 / 全農 / 経済連 |
Research Abstract |
系統組織の再編状況は、農協段階では、2000年度で農協合併助成法がうち切られることを受け、合併の最終段階に入り、これまで進展が遅れていた北海道などでも急速に合併が進んでいるが、合併構想の70〜80%程度に止まりそうである。連合会段階では、全農と経済連の統合が新たに21ケース行われ、全国の経済連の半数以上にあたる27経済連が統合に参加している状況にあり、2001年度もすでに4ケースほどが予定に上がっている。 組織面では以上のような再編の進展が見られるが、事業面での再編は過渡期にあることも要因し、模索の状況にあるとみられ、これまでの事業体制をドラスチックには変更できてはおらず、現状維持の体制にある。特に、販売事業に関しては、各県ごとに特徴を有していることもあり、実質的には全農県本部がこれまで通りの分荷権を有した販売体制になっている。とはいえ、全農は栽培方法にこだわった産直を構築する目的で「安心システム」を立ち上げており、全農独自に産地と提携する事業にも着手するなど、これまでの系統組織全体での販売体制とは異なった系統内競争構造が見られつつある。他方、経済連や全農県本部など、県段階の販売面の連合会と農協との競争構造は、農協が大型化するにともなって、大規模な販売ロットを有する農協の出現により、潜在的には農協独自の販売を模索する動きが強まっていることは、聞き取り調査などからも把握された。さらに、近年の青果物価格下落傾向のもとで、農家組合員による農協独自の販売面への取り組みの要望は高まりつつあり、連合会に頼らない販売体制の構築が本格的に進められる動きも確認される。しかし、これまでの連合会に依存した事業体制により、農協段階では独自に売るノウハウを有しているところはきわめて少なく、リスク負担までを考えた経営体力にも不安を有している。そのため、競争構造は潜在的に強まっているものの、全体的にみると表面化するまでには至っていないのが現状である。 とはいえ、県段階の連合会においても、青果物販売事業が赤字の県が7割近い状況で、これまでの農協丸抱えの系統販売体制からの変革が行われることも予想されることから、経営面での採算も考えた上での販売面のイニシアティブ獲得競争構造を明確にすることが新たな課題である。
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Research Products
(2 results)