2001 Fiscal Year Annual Research Report
系統組織再編下における農協共販の系統内競争構造と協調関係に関する研究
Project/Area Number |
12760155
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
板橋 衛 広島大学, 生物生産学部, 助手 (90289645)
|
Keywords | 農業協同組合 / 農協共販 / 系統再編 / 全農 / 経済連 / 連合会依存型農協 / 自己完結型農協 / 部門別独立採算性 |
Research Abstract |
農協合併による大規模な販売ロットを有する農協の出現は、農協独自の販売体制を模索する動きの強まりとなっている実態は前年度の調査・研究から明らかになったが、農協にそのノウハウおよび経営体力が備わっているかどうかが疑問としてあげられた。自己完結型農協の実現を目標とした合併農協において、今日においても業務執行体制のあり方が問われていることは、そうした体制が確立されていないことの現れであり、系統内競争条件は有しているが、競争構造としては潜在的な段階にあると判断される。 そこで、あらためて農協の統計分析を行った結果、学経理事数の増加や独自の資金運用、生産資材の独自仕入れなど、独自な事業展開は確認されるが、本研究の対象である販売事業に関しては、若干の系統利用率低下傾向がみられるにとどまる。その要因を事業収支の面でみると、経済事業の貸倒引当金の増加からリスク負担の問題がみられ、経営全体の収支からみると、事業利益の低下傾向が問題になる。連合会に依存しない事業展開を行いつつ、経営的には連合会依存率が上昇するという状況であり、連合会からの各種奨励金や配当金なくしては農協経営が成り立たない構造を強めているのである。しかも、部門別の純損益で見ると販売事業の赤字幅が増加しており、経営全体へのマイナスの寄与率も高まっている。農産物価格の全般的低落状態の中で、経営的にリスクを冒してまで独自展開するよりは、系統内の販売体制に依存したかたちが無難と判断する農協が多いことは、農協経営的要因が強いことも明らかになった。 しかしながら、系統組織のどの段階が販売面のイニシアティブを有するかという問題は、生産者の視点から見ると、どのような販売方法が有利販売になるかというメリットヘの関心に置き換えられる。輸入青果物が急増する中で価格が低迷している今日的状況においてはよりシビアに受け止められているのである。そのための農協共販のあるべき姿が問われており、農協の販売体制の大転換が行われる可能性があるのが今日的特徴である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 小林国之, 板橋衛, 大友康博, 小山良太: "高知園芸連における全県共販体制の機能と再編方向"協同組合奨励研究報告. 二十七輯. 178-204 (2001)
-
[Publications] 板橋 衛: "統計から見た農協の姿-組織・事業・経営-"農業と経済. 68巻5号. 101-112 (2002)