2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12760162
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
西村 眞一 岐阜大学, 農学部, 助教授 (90228221)
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Keywords | 水理破砕 / 破壊靭性 / 農業用フィルダム / 供試体直径 / 初期亀裂長 |
Research Abstract |
1.目的:農業用のフィルダムにおける漏水の原因の一つとして水理破砕が考えられる。水理破砕には地盤や堤体中の亀裂が水圧により押し広げられる現象があげられるが,この現象は破壊力学で用いられる破壊靭性により定量的に扱えることが明らかになっている。破壊靭性は供試体が無限の広がりをもつことが理論上の仮定とされているが、実際の供試体は有限であるため、破壊靭性を測定する場合、円柱供試体の直径に対する初期亀裂長の影響を考える必要がある。これまでの研究では、直径7.0cmの供試体に対し初期亀裂長を変化させて破壊靭性を求めたが、初期亀裂長を1.0cmより小さくすることは困難であった。そこで本研究では、初期亀裂長1.0cmに対し、逆に供試体の直径を7.0cmより大きくする実験を行うことにより、既往の実験を補い、破壊靭性の測定における、適切な初期亀裂長に対する供試体の直径の比を求めることを目的とする。 2.方法:実験装置は三軸圧縮試験機を改良したものを用い、円柱供試体の直径7.0cmに対し、初期亀裂長を4.0cm、3.0cm、2.0cm、1.0cmと変化させた場合と、初期亀裂長1.0cmに対し、供試体の直径を7.0cm、8.0cm、9.0cmと変化させた場合において測定を行った。実験は、供試体の初期亀裂内にグリセリン水溶液を加圧注入し、圧力を段階的に上昇させ、圧力が急落した時点の注入圧を破壊圧力として破壊靭性を求める。 3.結果:供試体の直径が同一な場合なら、初期亀裂長が小さくなるほど破壊圧力は高く、それとともに破壊靭性も高くなる傾向が見られる。しかし、初期亀裂長1.0cmに対し供試体の直径が7.0cm以上になると、破壊圧力、破壊靭性はある程度の幅はあるが、ほぼ一定となった。したがって円柱供試体を用いて破壊靭性を測定する場合、理論的仮定を満たすためには、供試体の直径は初期亀裂長の7倍程度必要であると考えられる。
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