2000 Fiscal Year Annual Research Report
貯蔵環境が青果物の呼吸速度に及ぼす影響の解明と呼吸予測モデルの構築
Project/Area Number |
12760170
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川越 義則 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (80234053)
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Keywords | 呼吸速度 / 二酸化炭素放出速度 / 酸素吸収速度 / 呼吸商 / 酸素濃度 / 温度 / ホウレンソウ |
Research Abstract |
実験試料には、呼吸速度の高いホウレンソウを用いた。実験試料のもつ個体差を小さくするため、また収穫後から実験開始までの間、常に同じ環境条件となるよう室内にて人工環境のもと水耕栽培によるホウレンソウの栽培を試みた。本年度は、安定的に供給できるほどは栽培できなかったが、次年度はこの試料を用いて全ての実験が可能と予想している。今年度の実験試料は、栽培農家による直販所から購入して用いた。温度条件として10℃、20℃、換気ガス濃度条件として、酸素濃度2%、10%、21%、二酸化炭素濃度0%の組み合わせにより、一定環境下における6通りの実験を各々72時間行った。呼吸速度は2時間毎の平均値として試作した呼吸計測チャンバ内の濃度変化から計算により求めた。また、アスコルビン酸含有量を実験前後で測定した。一定環境を達成するために、2時間毎に濃度を設定した換気ガスにより呼吸計測チャンバ内の換気を行った。換気と換気の間の密閉状態におけるガス組成変化は、約0.5%程度に抑えられ、一定ガス組成とみなした。各温度について酸素濃度21%における二酸化炭素放出速度を基準として、酸素濃度低下に伴う呼吸抑制効果を検討したところ、酸素濃度10%の場合はあまりみられず、酸素濃度2%の場合は約75%程度まで抑制されることが分かった。また、これは温度によらず同様の傾向を示した。一方、アスコルビン酸含有量は、酸素濃度21%で約24%減少し、酸素濃度10%では約14%、酸素濃度2%では約7%減少した。。呼吸抑制効果のあまりみられなかった酸素濃度10%でもアスコルビン酸の保持効果がみられ、呼吸抑制との関係について今後検討する必要がある。また、呼吸予測モデルを構築するためには、呼吸抑制効果が顕著にみられる酸素濃度を特定する必要があろう。
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