2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12760180
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
安江 健 茨城大学, 農学部, 助手 (10270852)
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Keywords | 無牧柵放牧 / 移動行動 / GPS / 温熱環境要素 / 植生環境要素 / 日本短角牛 |
Research Abstract |
本年度は、牛の位置データの長期記録にGPS測位記録計を、温熱環境測定の長期記録に無人観測器を導入するといった方法的検討を中心とした。放牧された27頭の日本短角種繁殖牛から1頭を選定し、放牧開始時から終了時まで首輪型GPSにより位置データを、首輪内蔵の温熱センサーにより牛周辺の気温データを2時間間隔で自動記録した。牧野内3カ所に設置した風速・気温測定装置と27カ所に設置した自記温度計で温熱要素を放牧期間を通して1時間間隔で自動記録した。これら自動記録以外に各7〜10日間の現地調査を3回実施し、自動記録データの回収とともにGPS装着牛の位置を目視により地形図上に記録した。これらの記録と同時に牛から2m以内の気温を1時間ごとに測定した。これら現地調査時に牛が存在した数カ所の林班においてコドラート法による草量調査を実施し、航空写真による草量推定を試みた。得られた結果は次の通りである。(1)GPSによる位置データと目視による位置データ間の誤差は約19mであり、目視による場合とほとんど遜色のない位置データが得られた。放牧期間中の位置データ回収率は19%と低かったが、これは首輪の調節時に内部アンテナがよじれるといった人為的エラーのためであった。(2)牧野内に配置した3台の風速・気温測定装置のうちの1台の風速センサーが防水不十分で、最後の1カ月間にエラーが存在したが、気温についてはほぼ全ての測定場所で期間中の気温データが得られた。(3)牛近くで測定した気温とGPS内蔵の温度計の気温との誤差は3.2°程度であり、同じ植生環境内での移動の検討には不十分な精度であったが、種々の植生環境間の移動の検討には十分と判断された。(4)航空写真での草量推定は困難であり、植生環境のモニタリングには、衛星情報などを用いた他の方法を今後検討する必要がある。(5)以上の結果より、植生環境要素以外の長期データ収集は可能と判断された。
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