2000 Fiscal Year Annual Research Report
Cartilage Oligomeric Matrix Protein (COMP)の関節疾患診断マーカーとしての確立と応用
Project/Area Number |
12760214
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
三角 一浩 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (10291551)
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Keywords | 馬 / 関節炎 / 軟骨 / マーカー / COMP |
Research Abstract |
本研究は、滑関節軟骨および滑膜内の細胞外マトリックスの構成成分の1つであるcartilage oligomeric matrix protein(COMP)の、関節疾患早期診断マーカーとしての可能性を検討している。平成12年度は、抗ヒト軟骨COMP抗体(12C4)を用いて、COMPの血清レベルが、ウマの関節疾患時の滑液中COMPの変化を表すかということについて検討した。そのために、ウマの血清および滑液中に含まれるCOMPとケラタン硫酸(KS)の定量、骨関節疾患のあるウマの血清中のCOMPおよびKSレベルを正常な馬のものとの比較、3)血清中と滑液中とのCOMPあるいはKS濃度の関係の解析を行った。 【方 法】ウマの関節軟骨から精製したCOMPとヒト関節軟骨由来のCOMPに対するmonoclonal antibody(12C4)を用いて、inhibition ELISAを作成した。KSは、コンドロイチナーゼabc処理したウマ関節軟骨由来プロテオグリカンモノマーとmonoclonal antibody(5D4)によるELISAにて定量した。関節に疾患のない対象馬(n=38)とX線的あるいは関節鏡検査にてosteoarthritis(OA)の認められたウマ(n=40)の血清中のCOMPおよびKS濃度を定量し、両群間の値を比較した。上記のウマのうち滑液のサンプリングもできたもの(対象馬n=13,OA馬n=39)について、滑液中のCOMPならびにKSを定量し、それぞれの項目の血清レベルと滑液レベルの関係について回帰分析を行った。 【結 果】ウマの関節軟骨由来COMPとmonoclonal antibody(12C4)によるELISAを用い、滑液と同様に、血清中のCOMPエピトープを定量できた。OA馬の血清COMP(10.7±7.4μg/ml)およびKSレベル(112.4±81.6ng/ml)は、それぞれ対象馬(COMP14.8±7.8μg/ml,KS237.1±116.1ng/ml)と比較して、いずれも有意に(p<0.05)低い値を示した。血清中のCOMP濃度と滑液中濃度との間には有意な相関関係(r=0.53,p<0.001)が認められた一方で、KS濃度については血清と滑液との間で有意な関係は検出されなかった。 【結 論】滑液中のCOMPの測定系を用いることにより、血清中のCOMPが定量できること、血清中のCOMP濃度を定量することにより、血清KS濃度と同様に、OA馬を区別できること、そして血清中のKS濃度の変化は必ずしも滑液中のKS濃度と一致しない一方で、血清中のCOMP濃度は滑液中COMP濃度の変化をより正確に表すことが、明らかとなった。
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