2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12760222
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
吉田 直人 宮崎大学, 農学部, 助手 (50284823)
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Keywords | メタロチオネイン / カドミウム / 大腸菌 / 重金属汚染 |
Research Abstract |
メタロチオネイン(MT)はほ乳類をはじめ、魚類、軟体動物、酵母など広い生物種に渡って存在しており、重金属を多く抱え込む生体キレートとしての性質がある。本研究ではMT遺伝子を人工合成し遺伝子組換え技術により大腸菌に導入し、重金属回収能の付与を試みた。ヒトメタロチオネインII(hMT-II)をβ-ガラクトシダーゼの融合タンパク質として発現する大腸菌[Escherichia coli JM109(pZMT001)]は、β-ガラクトシダーゼのみを発現する対照菌[E.coli JM109(pUEX2)]と比較して、1mM Cd^<2+>を含むLB液体培地において耐性が140%に増加した。また対照菌は2mM Cu^<2+>を含む培地では生育できないのに対し、E.coli JM109(pZMT001)は生育可能となった。Zn^<2+>を含む培地においては耐性度に顕著な差は見られなかった。E.coli JM109(pZMT001)は500μM、50μMのCd2+を含む培地で4日間の培養において、それぞれ22%、87%のCd^<2+>を回収した。E.coli JM109(pZMT001)のCd^<2+>の回収能力は10.47μg/mg dry cellで、対照菌と比較すると3倍に増加していた。一方、Zn^<2+>、Cu^<2+>の回収は見なれなかった。500μM Cd^<2+>を含む培地で48時間暴露培養したE.coli JM109(pZMT001)において、Cd^<2+>の局在をエネルギー分散型X線分析装置にて調べてみると、40%が膜付近に存在していたのでCd^<2+>の非特異的な吸着があることが示された。残りの60%は細胞内に存在しており、取り込まれたCd^<2+>はhMT-IIにトラップされていることが予想された。
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