2000 Fiscal Year Annual Research Report
エストロジェンによるロードシス発現に伴う視床下部ニューロン興奮特性の変化
Project/Area Number |
12770034
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
濱田 知宏 日本医科大学, 医学部, 助手 (90312058)
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Keywords | エストロジェン / エストロジェン受容体 / 視床下部腹内側核 / ロードシス / 電気生理学 |
Research Abstract |
発情期のげっ歯類の雌に見られるエストラジオール(E2)依存性のロードシス発現には、中脳灰白質(PAG)に投射している視床下部腹内側核(VMH)のE2感受性ニューロンが重要な役割を演じている。このニューロンに関する細胞レベルでの生理学的特性を明らかにするための第一歩として、逆行性トレーサーにより標識されたE2感受性ニューロンを可視化することを試みたところ、後部PAGの腹側にトレーサーを注入することで、他の部位よりも確率良くVMHにα型E2受容体(ERα)含有ニューロンがラベルされることが明らかとなった。トレーサーにより単独ラベルあるいはERα免疫染色との二重ラベルされたニューロンは前部VMHの腹外側に多く観察された。同時にロードシス発現に関わるニューロン群について、c-Fos発現を指標に検討したところ、ロードシス発現に伴いERαが集積している腹外側VMHにc-Fosを発現するニューロンの増加が認められた。一方でトレーサーによりラベルされたニューロンに着目すると、c-Fos発現がごく少数のニューロンで観察された。本研究ではロードシス制御ニューロンを(1)中脳灰白質に投射し(2)エストロジェン感受性を持ち(3)ロードシス発現に伴いc-Fos等の初期発現遺伝子の活性化が起こる、腹内側核ニューロンと定義したが、これらの条件を満たすニューロンは非常に少ないことが示唆された。膣刺激が雄によるそれよりかなり強力でないと、ロードシス発現に伴うc-Fos発現が観察されないという報告があり、ロードシス発現とc-Fos発現の関係については今後の検討が必要である。現在、ERαを含有するVMHニューロンが確率良くラベルされる後部PAGの腹側にトレーサーを注入し、ラベルされたVMHニューロンについて、電気生理学的な検討を行っている。
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