2000 Fiscal Year Annual Research Report
動脈圧受容器反射と心肺圧受容器反射の相互作用に及ぼす高体温の影響
Project/Area Number |
12770035
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
曽根 文夫 (山崎 文夫) 産業医科大学, 産業保健学部, 講師 (80269050)
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Keywords | 高体温 / 血圧調節 / 自律神経 / 心拍数 |
Research Abstract |
体温の上昇に伴う皮膚血流量の増加は、体中心部の血液量を減少させ、心房径を減少させる。一方、head-down tilt(HDT)は下肢部からの静脈還流量を増加させ、心房径を増加させると考えられる。したがって高体温時にHDTを行えば、心房径は正常体温時のレベルに回復されると推測される。この仮説を検証するために左房径に及ぼす高体温およびHDTの影響について検討した。健康な成人12名が、2つの実験で正常体温状態を40分間維持した後に、水還流スーツを用いた暑熱環境に80分間暴露された。実験1では高体温時に5°と10°の傾斜のHDTを行い、実験2では正常体温時および高体温時に15°と30°の傾斜のHDTを行った。左房径はエコーカルディオグラフィーによって、実験中10分毎に測定された。実験1において、暑熱負荷に伴い食道温(Tes)は36.54±0.06℃から37.22±0.08℃に上昇し、左房径は2.75±0.10cmから2.62±0.10cmに減少した。暑熱負荷中Tesと左房径の変化量 (Δ)との間には有意な負の相関関係が認められた(Δ左房径=-0.151×Tes+5.533、r=0.924)。左房径はいずれの温熱条件においてもHDTによって有意に増大し、tiltの傾斜角度のサイン値とΔ左房径の間に有意な正の相関関係が認められた(Δ左房径=0.612×傾斜角度のサイン値+0.065、r=0.967)。これらの結果から、本実験条件下では高体温時に5-10°の傾斜のHDTを行うことによって、左房径を正常体温時のレベルに維持できると推定された。
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