2000 Fiscal Year Annual Research Report
小動脈の循環制御における血管弛緩因子NOとEDHF間のバックアップ機構の解明
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12770050
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
籠田 智美 武庫川女子大学, 薬学部, 助手 (00291807)
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Keywords | 一酸化窒素(NO) / 内皮由来過分極因子(EDHF) / 腎動脈 / バックアップ機構 / 内皮依存性弛緩反応 / 内皮由来弛緩因子(EDRF) / Lipopolysaccharaide(LPS) |
Research Abstract |
本年度は,NO産生を亢進させた場合,EDHF産生が低下するか否かについて検討した。Wistar系雄性ラットに誘導型NO合成酵素(iNOS)誘導剤であるLipopolysaccharaide(E.Coli.,055:B5)を1回投与(6mg/kg,i.p.),または,隔日慢性投与(0.5,1.0,2.0,2.0,2.0mg/kg,i.p.)を行った。最終投与24時間後に実験を行い,以下の結果を得た。 1.摘出腎動脈リング状標本において,アセチルコリンによる内皮依存性弛緩反応(NOおよびEDHFにより生じる弛緩反応)は,Control群およびLPS投与群との間に差はみられなかった。一方,N^G-nitro-L-arginine methyl ester(NO合成酵素阻害薬)またはODQ(可溶性グアニル酸シクラーゼ阻害薬)存在下の弛緩反応(EDHFにより生じる弛緩反応)は,LPS慢性投与群においてのみControl群に比べ有意に減弱していた。また,charybdotoxinおよびapamin(K^+チャネル拮抗薬)処置によりいずれの群も弛緩反応は完全に消失した。 2.Sodium nitroprussideに対する弛緩反応(平滑筋のNOに対する反応性)およびDiazoxideに対する弛緩反応(平滑筋のEDHFに対する反応性)は,群間に有意な差は認められなかった。 3.LPS投与により,動脈にiNOS蛋白の発現が認められ,血清NO_2+NO_3(NO代謝物)量は有意に増加していた。その程度は,LPS慢性投与群に比べ1回投与群で大きかった。 以上,慢性的なNOの暴露によりEDHF依存性弛緩反応は減弱することを明らかとした。その機序として,平滑筋のEDHFに対する反応性の低下というよりむしろEDHF産生の低下が関与していることを示唆した。
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