2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト肝臓の幹細胞の研究:c-kit受容体stem cell factor系の発現を中心に
Project/Area Number |
12770085
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
常山 幸一 金沢大学, 医学部, 助手 (10293341)
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Keywords | stem cell factor / c-kit / 多分化能 / 肝臓 / 幹細胞 / 胆管 |
Research Abstract |
1.当施設、及び関連施設で過去10年間に施行された手術、外科生検肝、剖検肝のなかから、各発生段階の症例(胎児肝、小児肝、若年成人肝、各種肝・胆道系奇形)、炎症性疾患(劇症肝炎、肝内結石症)、腫瘍性疾患(特に複数の組織型を混ずる原発性肝腫瘍)を収集した。 2.発生学的側面からの検討:各発生段階で太い胆管周囲の附属腺上皮にSCFが恒常的に出現していること、周囲結合織にc-kit陽性細胞が多数浸潤していることが示された。従来、Herring管周囲に幹細胞が存在すると提唱されているが、太い門脈域周囲にも幹細胞が存在する可能性が示唆された。今後は各種分化マーカーを用いた免疫染色を施行し、附属腺周囲の幹細胞の存在を明らかにする予定である。 3.炎症性疾患での検討:肝内結石症を用いた検討で、胆管周囲に炎症状態が持続した場合、SCFが胆管上皮のみならず、従来からヒトの幹細胞との異同が議論されている増生胆管にも強く発現することが示された。C-kitやCD34等の他の幹細胞マーカーや分化マーカーの発現を検討し、増生胆管と幹細胞の異同を検討する。 4.腫瘍性疾患での検討:多分化能を示す肝腫瘍に注目し、細胞形態や分布パターン、各種の細胞分化マーカーの発現について病理組織学的、免疫組織化学的に再検討した。なかでも、分化型の肝細胞癌、胆管細胞癌、扁平上皮癌の各成分が移行像を取らずに腫瘍内で衝突するように分布する原発性肝癌の症例に注目し、c-kit、SCF、CD34等のいわゆる幹細胞マーカーの発現パターンから、いわゆるstem cell cancerの可能性について検討する予定である。
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