2001 Fiscal Year Annual Research Report
肺腺癌と前癌病変におけるメチルグアニン-メチルトランスフェラーゼ発現の検討
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12770089
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
林 宏行 横浜市立大学, 医学部, 助手 (90301415)
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Keywords | 肺癌 / 腺癌 / 発癌要因 / 喫煙 / 予後 / O^6メチルグアニンDNAトランスフェラーゼ |
Research Abstract |
O^6-methylguanine-DNAmethyltransferase(MGMT)はグアニン塩基のメチル化を抑制し、その発現の低下はG→A変異をもたらすと考えられている。また、喫煙者肺癌ではG→Tが、非喫煙者肺癌ではG→Aの変異が多いことが知られている。肺腺癌98例について、MGMT発現を免疫染色にて、p53遺伝子変異をdirect sequence法で検討し、MGMT発現の有無とG→A変異の関係を明らかにすることを試みた。17例にp53変異を認め、内訳はMGMT陽性が13例、陰性が4例であった。MGMT陰性の4例はいずれも喫煙者で、これらにG→A変異は認められなかった。変異症例が少なかったこともあり、mutation spectrumとMGMT発現低下の関連性については今回明らかに出来なかった。また、別の可能性として、MGMT発現低下が必ずしもp53変異に先行するとは限らないことも考慮された。MGMTが予後に与える影響について、stageI症例に限定して検討した結果、喫煙者群ではMGMT発現の低下が有意に予後不良であった。非喫煙者ではこのような傾向は認められなかった。この原因として、タバコ中に含まれるニトロサミン類などのalkylating agentsのDNAに対するメチル化(アルキル化)作用が、MGMT発現低下により増強されていることが考えられた。細胞周期制御因子p16もMGMT同様に一部がメチル化により発現が制御されており、肺癌発生に関与していると考えられている。今回の症例を用いて両者の発現を比較したところ、MGMT陰性p16陽性が20%、両者ともに陰性が12%であり、それぞれが独立して発現低下を示す結果が現れた。各種の遺伝子においてDNAメチル化がどのような機序で生じるのかは未だよく分かっていないが、複数の遺伝子が同時にメチル化を受けるような機序ではなく、個々の遺伝子が独立して発現制御されていると考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ikoma T, Ito T, Okudela K, Hayashi H, Yazawa T, Kitamura H: "Modulation of expression of Cip/Kip family of cyclin dependent kinase inhibitors in foetal developing lungs of hamsters"Cell Prolif.. 34・3. 233-241 (2001)
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[Publications] 北村均, 林宏行, 野沢昭典, 伊藤隆明, 蟹沢成好: "肺腺癌の発生機序"綜合臨床. 50・8. 2229-2235 (2001)
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[Publications] Hayashi H., et al.: "High cyclin E and low p27/Kip1 expression are potentially poor prognostic factors in lung adenocarcinoma patients"Lung Cancer. 34・1. 59-65 (2001)
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[Publications] Hayashi H, et al.: "Inactivation of O^6-methylguanine-DNA methyltransferase in human lung adenocarcinoma related to high-grade histology and worse prognosis among smokers"Jpn.J.Cancer Res.. 93・2. 184-189 (2002)