2000 Fiscal Year Annual Research Report
炎症、腫瘍組織に存在する酸素ストレスが局所の免疫応答に与える影響
Project/Area Number |
12770112
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Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
中村 和史 香川医科大学, 医学部, 助手 (80281111)
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Keywords | 免疫細胞 / 炎症 / 腫瘍 / 酸化ストレス / 細胞内シグナル伝達 / チロシンリン酸化 |
Research Abstract |
炎症、腫瘍組織における免疫細胞の活性化状態は、従来より研究されてきた抗原提示やサイトカインによる活性化制御に加えて、局所の好中球や組織の細胞から産生される酸化ストレスによる影響を受けると考えられる。本研究では酸化ストレスの免疫細胞のシグナル伝達機構に与える影響について検討を行っている。 生体内での免疫細胞に対する酸化ストレスの影響をin vitroの系においてmimicするために、末梢血リンパ球あるいはリンパ球細胞株に酸化ストレスとして過酸化水素、あるいは酸化剤を添加するという系を用いて、酸化ストレスが免疫細胞の細胞内シグナル伝達系に与える変化についての検討を行った。抗原提示やサイトカイン刺激による免疫細胞活性化においてごく初期に観察されることが知られている細胞内蛋白のチロシンリン酸化について、培養リンパ球への酸化剤添加による変化の有無を検討したところ、幾つかのタンパク質のチロシンリン酸化の誘導あるいは増強が観察された。また酸化剤添加後に抗原受容体を抗抗原受容体モノクローナル抗体を用いて刺激するという実験系においては、酸化剤非存在下で抗原受容体刺激時に観察される特定タンパク質のチロシンリン酸化の誘導が酸化剤の添加により増強される効果が認められた。 これらの結果は酸化ストレスが単独で免疫細胞の活性化状態に影響を与えることを示すと共に、細胞内タンパク質のチロシンリン酸化の誘導の点において抗原提示やサイトカインによる免疫細胞の活性化機構に対して酸化ストレスが促進的に作用することが明らかとなった。
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