2000 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア電子伝達系複合体IIを標的とする抗マラリア剤の開発
Project/Area Number |
12770123
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹尾 暁 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40302666)
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Keywords | マラリア / ミトコンドリア / 複合体II / コハク酸脱水素酵素 / 組換え体 |
Research Abstract |
はじめに、マラリア原虫からすでにクローニングされた触媒サブユニット(FpおよびIp)に対する2つのpET発現プラスミドを構築し、各サブユニットが単独で大腸菌内において発現されることを確認した。次に、FpおよびIpのコード部位をタンデムに連結した発現プラスミドを構築し、共発現を試みた。宿主として、コハク酸脱水素酵素(SDH)を欠損させた大腸菌を用いた。発現タンパク質の大腸菌内局在を調べたところ、各サブユニットを単独で発現させた場合は、得られた組換え体が封入体画分に存在するのに対して、共発現させた場合には両サブユニットともに細胞質画分に得られることがウェスタン解析より確認された。これと一致して、SDH活性も細胞質画分に得られるようになった。また、Fpの補欠分子族である、FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)の構成成分であるリボフラビンを培地中に添加したところ、無添加時に比較しSDH活性の上昇(5μg/mLで最大)が確認された。これに対して、SDHを構成するFp、Ipのみならず、複合体II(4つのサブユニット)の再構成を示唆するコハク酸-ユビキノン酸化還元酵素(SQR)活性を測定したところ、FpおよびIpを組換えていない陰性対照と等しく検出されなかった。これらの結果より、発現プラスミドを導入した大腸菌より得られたSDH活性は、発現された組換え体由来のものであると考えられた。 今回得られたマラリア原虫組換えSDHの酵素活性は低かったものの、ミトコンドリアのSDHを大腸菌内で発現させた例は、ホ乳類や酵母を含め、初めてである。以上の実績を基礎に、今後は分子シャペロンなどの付加因子、さらに発現誘導条件の検討を行って、抗マラリア剤探索のための生化学的解析に利用可能な、SDH活性の高い触媒サブユニット組換え体を、再現性良く得られるよう研究を進めていく。
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