2000 Fiscal Year Annual Research Report
ウェルシュ菌のε毒素の活性化機構ならびにプロペプチド断片の機能解析
Project/Area Number |
12770138
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Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
宮田 茂 香川医科大学, 医学部, 助手 (90314913)
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Keywords | ε毒素 / 毒素活性化 / Clostridium perfringens / プロペプチド |
Research Abstract |
ウエルシュ菌のε毒素は家畜類の腸性毒素血症の主要な病原因子であり、神経細胞毒性のある強い致死毒素である。ウエルシュ菌はこの毒素を不活性な前駆体として産生し、腸管の消化酵素もしくは本菌が産生するλプロテアーゼにより活性化される。活性型ε毒素と前駆体ε毒素のアミノ酸配列、分子量の比較から、活性化に伴いN末端とC末端のプロペプチドが除去されていることが明らかとなった。トリプシン、キモトリプシン、λプロテアーゼによる切断は、いずれもN末端、C末端領域を切断するため、いずれが活性化を支配するかを決定することを試みた。まず、N末端プロペプチドを欠失する毒素は大腸菌で産生させたところ、毒素活性は無かった。したがって、C末端領域の切断は活性化に必要であると考えられた。次に、C末端プロペプチドを欠失する毒素を大腸菌で産生させたところ、Inclusion bodyを形成した。尿素により可溶化した後にrefoldingを試みたが活性を有する毒素(トリプシン消化の行っても)は回収されなかった。そこで、C末端領域は可溶性の蛋白として産生するために必要であると考え、C末端領域のトリプシン認識部位に変えて、Factor Xa認識部位を組み込み、大腸菌に産生させた。このC末端領域の改変毒素の場合、N末端ペプチドが存在する場合、存在しない場合ともに、可溶性画分に大量回収された。この2種類の改変毒素はともに、毒素活性が見られないが、Factor XaでC末端プロペプチドを切断すると、ともに活性化され、その毒性(マウス致死活性、MDCK細胞毒性)には有為な差が見られなかった。これらの結果から、C末端プロペプチドが毒素の活性化に必要であることが明らかとなった。C末端プロペプチドを欠く毒素遺伝子と、C末端のみの遺伝子を大腸菌でCoexpressさせたが、Inclusion bodyが形成された。
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